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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2008.04.13
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カテゴリ:Movie
イヴォンヌ・ド・ブレは、ジャン・マレーが劇場でその演技を見て、「彼女が舞台に立つと他の俳優は皆かすんでしまう」と感激したベテラン女優。コクトーはマレーとド・ブレを共演させるべく、戯曲『恐るべき親たち』を書いた。マレーは最初にこの作品をコクトーに読んで聞かされたとき、自分にはこの役はとてもこなせないのではないかと不安に駆られた。そんなマレーを救ったのが、ド・ブレとの稽古だった。

『恐るべき親たち』は大成功し、舞台俳優マレーの名は一挙に世間に広まった。だが、この素晴らしい舞台女優には1つ大きな問題があった。彼女はアルコール依存症だったのだ(マレー君の周りはこんな人ばっかり……)

『悲恋(永劫回帰)』出演直前にも、酔っ払って暴れ(苦笑)、コクトーに電話をかけてよこし、一方的に「映画なんてお断り」とタンカを切ったかと思えば、翌日また電話してきて、「やっぱり出るわ」と言うなど、コクトーを困惑させている。そんなド・ブレをコクトーは、「聖なる怪物」と呼んだ。「時代は彼女のような存在をもはや支え切れなくなっている」とも。

ともあれ、『悲恋(永劫回帰)』(そしてのちの映画『恐るべき親たち』にも)ド・ブレが出てくれたおかげで、その卓越した演技が映像に残り、パリから遠く離れた日本の聴衆もその素晴らしさを知ることができる。

『悲恋(永劫回帰)』のロケのためにド・ブレをパリからニースまで連れて行ったのはコクトーだった。「ド・ブレを列車に乗せるのは、大変な苦労だった。寝台車でなくては嫌、というのだった。しかも目茶苦茶に酔っていた」「わけもなく笑い声を上げていた」「彼女は結局立ち詰めで旅をした。ニースに着いたときには死にそうなほど疲労困憊していた」(コクトー『占領下日記』より)

それもこれも、マレー君がド・ブレに出て欲しかったから。コクトー先生、お疲れさまです。

ド・ブレとマレーの交流は1954年にド・ブレが亡くなるまで続くが、さまざまなエピソードに彩られている。

1946年、映画『悲恋(永劫回帰)』公開から3年後、再びマレーはコクトーの舞台劇でセンセーショナルなヒットを飛ばす。ルートヴィッヒ2世の従姉妹エリザベートに想を得て書き下ろした『双頭の鷲』だ。『双頭の鷲』は超ロングラン上演となり、別の劇場が決めた『恐るべき親たち』の再演とダブる結果となった。マレーは新作を優先し、『恐るべき親たち』の主役を別の俳優に譲る。ド・ブレは当然キャスティングされていた。

マレーは観客として『恐るべき親たち』の初日に劇場に足を運んだ。幕が開き、ド・ブレ登場。拍手喝采。ところが、マレーはすぐに「何か変だ」と気づく。ド・ブレは完全に酔っ払い状態だった。ロレツが回らず、台詞がまともにしゃべれない。

観客は激怒してブーイングの嵐となる。すぐに幕が下ろされ、公演は中止に。慌てて楽屋に駆けつけるマレー。かつて圧倒的な演技力で自分をリードしてくれたベテラン女優は、鏡の前で泣いていた。
「愛想が尽きたでしょ? どう?」
何も言えず、ド・ブレを抱きしめるマレー。
「相手役があの人ではダメなのよ。あなたでなければ……」
2人はただ、一緒に泣いた。

こうしたマレーとド・ブレの深い信頼関係、あるいはそれだけではない「何か」に強烈に嫉妬した人がいた。マレーの実の母親だ。その嫉妬は、ド・ブレが亡くなったあとも静まることはなかった。マレーは過去に共演した女優や友人の写真をよく楽屋に貼っていたが、ド・ブレの写真だけは置くことができずにいた。母親が嫉妬で狂ったようになるからだ。

そんな事情を知らないド・ブレの母親が、マレーの衣装係に、「ジャノは別の女友達の写真は楽屋に何枚も貼っているのに、うちの娘の写真はおかないのね。あんなに仲が良かったはずなのに」と嘆いた。それを聞いた衣装係が、気を利かせてマレーの楽屋にド・ブレの写真を置いておいた。

ところがそれを、ド・ブレの母親より先にマレーの母親が見てしまう。舞台に出るために劇場に向かっていたマレーは、通りから母親が絶叫しているのを聞く。急いで階段を駆け上がると、衣装係が一所懸命、「写真をおいたのはマレーさんじゃない。私です」と弁明しているところだった。

母はマレーをにらみつける。
「お前が芝居をやっているとき、客席に行って、ド・ブレは酔っ払いのスベタだと皆に叫んでやるからね!」
「そんなことをしたら、『母親の見せ場』じゃなくて、『愛人の場面』になるじゃないか! いい加減にして、外へ出てくれよ。衣装もつけなきゃならないし、メイクもある。少し時間をとって準備もしないと」
「私を追い出すんだね?」
「そうじゃないよ。でも、舞台の前に気持ちを集中させる時間が最低限必要なんだ。お願いだから1人にしてくれ」
「追い出すんだね。わかったよ。もう二度とお前になんか会うもんか」

母は劇場を飛び出していった。オロオロして謝罪する衣装係。
「いや、君はいいことをしてくれたんだよ。写真はそのままにしておこう。イヴォンヌの写真を置かなったのは、僕が臆病だったからだ」

なんとか芝居を終え、楽屋に戻ると電話がかかってくる。病院からだった。
「ジャン・マレーさんですか?」
「そうですが」
「地下鉄のホームで気絶した女性がこちらに運び込まれてきたんですが、あなたのお母さんだと言うんです。本当でしょうか?」
「重態ですか?」
「いいえ。検査はしましたが、どこも悪くありません。とにかく来ていただけますか?」
こうして母親を引き取りに行くマレー。

「私はごく若いころから、嫉妬、恐れ、驕り、羨望など否定的な感情に囚われているかぎり、人は幸福にはなれないと理解できていた。演劇に対する愛と情熱が、常に私をこうした否定的な感情から解放してくれた。私は幸運だった。だが、母にはこの幸運がなかった。彼女は他人の幸せが許せなかった。それが母の不幸だった」とマレーは言っている。





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最終更新日  2008.04.14 17:03:39



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