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カテゴリ:Movie(フェデリコ・フェリーニ)
<きのうから続く>
『サテリコン』の時代の人々の運命は、風に弄ばれる木の葉のよう。 浜辺でブロンド君が、自分を捨てて友と去った美(??)少年を想っていると…… 皇帝の側近、暴将リーカに捕らえられ、黒髪君と美少年ともども奴隷同然に彼の船に乗せられてしまう。 そして、船は行く。アドリア海に面した街、リミニ出身のフェリーニ。海、そして船はフェリーニ映画とは切っても切れない関係。 甲板に立つたくましい男。レスパリエ(拍子をとる漕ぎ手)の声が響く。非常に美的な仰角のカット。 船の中では、仲睦まじい黒髪君と美(??)少年の姿に苦しむブロンド君。だが、ブロンド君のチュニカに目をつけた連中が、集団でブロンド君に襲い掛かると、なぜか黒髪君が助けにやってくる。 ブロンド君のほうは暴将リーカに呼び出され、素手の勝負をすることに…… 初めからスケベ心ムンムンなリーカ。おじいさんだが、腕っぷしはめっぼう強く、取っ組み合いながら、「お前の身体は若くて柔らか~い」「澄んだ目をしてる。青い目じゃ~」とブロンド君をさんざん弄ぶ。 とんでもないヘンタイ・リーカだが、演じているのはフランスの名優アラン・キュニー。フェリーニ監督の『甘い生活』では、インテリジェンスな哲学者役だった(下の写真の左)。 それが、『サテリコン』では…… ジタバタと抵抗するブロンドの美青年(ほとんど裸)を力ずくで簡単に組み伏し…… ブロンド君も観念したのか、途中で抵抗をやめて、素直に受け入れる。これを見て周囲は、なぜかヤンヤの喝采で盛り上がっている。(謎) 暴将リーカはむちゃくちゃブロンド君が気に入り、 (……だそうな) 結婚することに。(呆) リーカとブロンド君の結婚式は甲板で。このワケのわからない成り行きに、悪友の黒髪君が吹き出して爆笑している。 それを見たブロンド君も…… なぜか自分でも笑ってる? リーカは大真面目。 しかも、なんと、リーカのほうが「花嫁」で、ブロンド君が「花婿」なのだ! リーカはヘリオガバル・タイプということネ。なるほど~(と感心してどーする?)。 マジで嬉しそうなリーカ。このあと花婿と手をつなぎ、愛情たっぷりに頬にキスしたり、じっと熱いまなざしで見つめたり、どこからどう見ても嫁ぐ女性そのもののほほえましさ(なワケないって!)。いやあ、アラン・キュニーは本当にうまい役者だ。 しかし、マルセル・カルネ監督の『悪魔が夜来る』のころのキュニーは、こんなシリアスなイケメンだったのに…… 突然、暴将の花婿にさせられてしまい、「花婿は過去の少年への愛を忘れ去らねばならぬ。夫として従順であるように」などと余計なお説教までされ、ブロンド君はさぞや我が身の不運を嘆いていると思いきや…… え? 幸運だったの? まあ奴隷よりは花婿のがいいワナ。だが、その運命も、海から引きあげられた腐体が暗示するように、あっという間に変わる。 皇帝が死に、新しい皇帝が戴冠した。旧皇帝の側近だったリーカはたちまち逆賊となり、 問答無用で首をはねられ、海に浮かぶハメに。やっぱりこのリーカのモデルはヘリオガバルだな。 切り立った白い岩肌を見ると、ロケ地はやっぱりアドリア海側なんだろうな~。などと考えているうちに、船でのエピソードは終わる。 新皇帝の部下に、美(??)少年ジトーネは連れ去られ、残された黒髪君と「妻」を殺されたブロンド君は(なぜか)一緒に放浪の旅に出ることに。 <11/2のエントリーへ続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.11.03 18:24:04
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