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<続き>

Would you please stop to tell a lie, B?

ちなみに、この英語は基本的な文法が間違っている。Stopに不定詞を用いると、「~するために立ち止まる」という意味になってしまう。「ウソはやめて」と書くなら、動名詞を取らなくてはならない。

stop to tell a lie ウソをつくために立ち止まる

stop telling a lie ウソをつくのをやめる

キム・ヨナが言いたかったのは、もちろん、後者だろう。「ウソはやめて、B。今何が起こっているのか私にははっきりわかっている。それにこれは、私が決めたこと」。

かなり痛烈だが、明快なメッセージだ。キム・ヨナが憤っているオーサーの「ウソ」とは、キム・ヨナの母親が理由も述べずに、いきなりオーサーを解雇したという話だろう。「私が決めたこと」というのは、オーサーと師弟関係を解消するという結論は自分で出したということだ。「今何が起こっているのか私にははっきりわかっている」というのは、オーサーが8/24付けのThestar.comのインタビュー(これについては後述)で、「(すべては母親がコントロールし)、キム・ヨナ自身は何が起こっているのか理解していない様子だった」と述べたことへの反論かもしれない。

オーサーは韓国メディアからの電話取材に対し、次のように述べた。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=132408&servcode=600&sectcode=600

  --キム・ヨナ指導をやめるということが事実か。

  「私がやめたのではない。彼女のお母さんがやめるように言ったのだ(I didn't stop teaching her.Her mother stopped)。」

  --どういうことか。

  「今から3週間くらい前の8月2日。クリケットクラブでキム・ヨナの母親、通訳、キム・ヨナのマネジャー(チェ・ヘジン)、トレーシー・ウィルソンらとミーティングをした。その場でキム・ヨナの母親が『あなたはこれ以上ヨナを教えないでほしい』と言った。トレーシー・ウィルソンも、もうキム・ヨナを指導しない。その後3週間たって報道資料を通じて事実を知らせることになった」

  --理由を聞いたか。

  「ヨナの母親がその理由を言うか。理由は言ってくれなかった」

また、オーサーは、Thestar.comのインタビュー記事で「5月から "uncomfortable"な関係だった」と主張するキム・ヨナの所属事務所の主張を「事実無根」だと否定し、あくまで「解雇は突然」だったとしている。

http://www.thestar.com/sports/article/851607--orser-left-out-in-the-cold-by-korean-figure-skater

この記事によれば、キム・ヨナがグランプリシリーズを辞退し、世界選手権だけに出場するとしたこともオーサーはネットの記事で知ったという。ショートプログラムの振付をボーンに依頼したことも、事前に相談は一切なく、ボーンから電話で知らされる始末。7月にキム・ヨナの事務所および韓国にいたヨナ自身に何度も何度もメールをしたにもかかわらず、返信は一切なし。

そして、8月2日にキム・ヨナ不在のミーティングでヨナの母親から「もう(ヨナの)コーチングをすることはない」と告げられた。その後3週間、翻意を待ったものの変化がなかったため、今回のリリース発表(24日火曜日)に至ったのだという。

その間、キム・ヨナ自身にも会ったものの、すべては母親が起こした騒動であり、ヨナ自身は何が起こっているのか理解できていないように見えたと言っている。

母親を悪者にされたキム・ヨナは激怒したようだ。

ツイッターを削除したあとのキム・ヨナの発言。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=132429&servcode=600&sectcode=600

キム・ヨナが心境吐露...「4年間、問題がなかったわけでない」

「礼儀に背く行動はしていない」。キム・ヨナがブライアン・オーサー・コーチとの決別と関連し、ミニホームページで心情を明らかにした。 24日、自分のツイッターで「B、お願いだから嘘はやめて」という短いコメントを載せた後、翌日、長文を載せた。

  キム・ヨナは25日午後、自分のサイワールドミニホームページに「こんにちは」と題した文を載せた。 「ずっと我慢していたが、これ以上黙って見ていられないので文を載せる」と書き始めたキム・ヨナは「私だけでなくブライアン・オーサー・コーチを含め、この件に関係するすべての人たちが真実を知っている」と述べた。

  キム・ヨナはオーサー氏がメディアに「キム・ヨナの決定ではなくお母さんの決定のようだ」というニュアンスでインタビューをしたことに関し、「私はもう子どもではない。とにかく私のコーチであったし、一緒にしようと、別れようと、それは私が最終決定すること」と一線を画した。 母親の言いなりになっているのではないということだ。

  キム・ヨナは「難しい時期に一緒になって支えてくれたコーチを捨てたのでは」という一部の非難を意識するかのように、「私たちは慎重にしてきたし、相手に対して礼儀に背く行動はしなかった」と強調した。また「約4年間、表面上に映っているように何の問題もなく、楽しく練習をしてきたと思いますか」という言葉で、これまで少なからず不和があったことを示唆した。 しかし「その過程は話したくないし、話す必要もない」と詳しい説明は避けた。

長くコーチを務めてくれた恩師に相談もせずにグランプリシリーズ辞退を発表したり、勝手に新しい振付師に仕事を依頼したり、相手からのメールを一切無視したり、突然解雇通告とも取れる宣言をしてその後何もフォローをしなかったりしても、それは「礼儀に背く行動」ではなかったということらしい。ネット上で「B」だとか「ウソつき」だとか言うのも、そもそも相手が悪いのだから、礼儀には背いたことにはならないというのが言い分のようだ。キム選手に対してだけ採点基準がおかしいのは試合を見ていて感じるが、どうも彼女は、行動規範も一般の基準とは違う次元にあるようだ。

誰にも理解できない点が出てくるフランケンシュタインルールのもとで、誰にも理解できない前人未踏のフランケンシュタイン世界歴代最高点を叩き出した、フランケンシュタインフィギュアクイーンの面目躍如といったところか。

キム・ヨナと自身の間に不協和音があったことを表沙汰にするのを避けるためか、オーサーが母親を持ち出したのに対し、キム・ヨナは大切な母親が一方的に悪者にされるのに耐え切れなかったということだろう。コーチとの師弟解消はよくある話で、元来当事者はなるたけ波風を立たせたくないと思うものなのだが、理想的に見せていたコーチと教え子の仲が実は世間が思うほど順風満帆でなかったこと、そこに所属事務所のショービジネスへの思惑が絡んだことで、今回のオーサーサイドからの一方的な論調の発表になったのではないか。

オーサーからすれば、そもそも寝耳に水の解雇通告をされたのは自分。キム・ヨナサイドからすれば「解雇」と言ったわけではなく、しばらくブランクを置こうと提案した(8/2)ところ、オーサーのほうからコーチを辞退したいと申し入れがあり(8/23)、それを受け入れたとたんに、勝手な言い分で発表された(8/24)ということだ。

オーサーへの報酬が年間いくらの契約に基づくものではなく、時給制だったということも、8月2日のキム・ヨナの母親の提案に絡んでいるかもしれない。つまり、キム・ヨナサイドからすれば、グランプリシリーズには出ない、出場するのは3月の世界選手権だけなのだから、今の時期から無理にオーサーにコーチングしてもらう必要はないと考えた可能性もあるということだ。

「誰が最初に何をどう言ったか」の行き違いなど、キム・ヨナとブライアン・オーサーの間の問題で、行き違いがあったのなら、当人同士が話し合えばいいことだ。今回の解雇劇は、元来日本人には何も関係がない。ところが、この報道は、思わぬところで日本人にも飛び火した。言うまでもなく、オールザットスポーツが、オーサーと不仲になった原因について、「他の選手からのオファー説で、オーサーとの関係がギクシャクし始めた」と浅田真央選手の話を持ち出してきたためだ。

まったく関係のない浅田真央の写真をわざわざ使ってオーサーのインタビューを報じた韓国紙もあるのだから、タチが悪い(こちらの記事)。

<明日へ続く>






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最終更新日  2010.08.26 10:00:01



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