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カテゴリ:Essay
<昨日のエントリーから続く> 日本の新型コロナ検査について以下のような記事が出た。 https://www.cnn.co.jp/world/35150399.html <以下一部引用>(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本で、政府の対策や検査のやり方に疑問を投げかける専門家が相次ぎ、実際の症例数は発表よりずっと多いのではないかとの不安が広がっている。 道内の感染者数は公式統計では80人台とされているが、北海道大学の西浦博教授は、実際にはその10倍に上る可能性があるとの見方を示す。 これに対して厚労省は、検知できていない人がいることは認識しているとした上で、日本国内の症例は合計3000例前後だと思われると述べ、西浦氏の推計に反論した。 まず、「実際の症例数が発表よりずっと多い」というのは、日本人全員が思ってることだろう。 10倍か、3000例前後かは、分からない。証明しようがないと思う。 で、「不安が広がっている」かどうかだが、Mizumizu個人で言えば、この数日間 https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6 のサイトで、新型コロナの全世界での感染者数と死者数の推移を見ていると、逆に不安が安心に変わりつつある。 日本の対策は、案外正しいのではないか? それは、日本の死者数があまり増えないからだ。韓国のメディアは、日本はコロナ感染者数を「隠蔽している」とさかんに書き立てているが、軽症者を検査しないことで、感染者数を仮に「隠蔽」したとして、じゃあ、死者数はどうか、ということになる。 新型コロナでの死者数まで日本は「隠蔽」しているのだろうか? まー、もちろん、その可能性はゼロではないだろう。例えば現場からはもっと数字が上がってきているのに、担当者が公表しないという文字どおり分かりやすい「隠蔽」。でもねー、そんなアホなことをしたら、すぐバレるし、それをやったら日本の国際的な評価はガタ落ち。バカバカしすぎる。 では、検査せずに、例えばコロナ肺炎で患者を死なせたとして、それを医療現場が「隠蔽」することは? まー、それだって、初期のころは、医療現場が隠蔽するつもりというのではなく、コロナとは思わずに亡くなったという例も、もしかしたらあったかもしれないが、今現在、それはほとんどないだろう。 新型コロナは閉鎖空間でうつりやすい。ということは、院内感染が起こりやすいということだ。武漢ではあれだけ防護していたプロの医療従事者にも感染が広がり、亡くなる人も出た。となれば、日本の医療現場の医師は、当然重症の肺炎患者が発生したら新型コロナを疑うはずで、自分たち医療従事者の健康を守るためにも、亡くなるまで重篤な患者のコロナ検査をしない(できない)というのは考えにくいし、仮にコロナと分からずに患者が亡くなったケースがあったとしたら、その後院内感染が広がるだろうし、それも含めて「隠蔽」することなどほとんど無理だろう。 そういう無意味なことに日本の医療現場が、意識的にであろうと無意識的にであろうと、加担するとは思えない。だから、今データとしてあがっている、日本の死者(クルーズ船は除いて)6人という数字は、十分信頼できる。 検査態勢の拡大は確かに必要だが、検査を求めて軽症者が病院に行くと、そこで感染を広めるかもしれないし、逆にもらうかもしれない。 軽症のうちに効く薬ができるか、見つかるかしたら(例えばシクレソニドが初期の段階で効果を発揮するとか)、検査の意味は非常に大きくなるが、今のように薬がないというなら、検査を求めて密閉空間へ行く、そして待たされるより、これまでの指針どおり、発熱したら外出を控え、家で寝ていて熱の具合を観察したほうがいいかもしれない。 実際のところ、軽症者があぶり出されたところで、現実の医療体制を考えれば出来ることは限られており、逆に院内感染を広めることになりかねない。さらに、流行が長期にわたり患者数がもっとずっと増えてしまったら、肝心なところで検査キットがなくなる…ということもありえる。 発熱がインフルかもしれない場合はどうだろう? インフルも年間1万人が亡くなる病気ではある。1万人死ぬ、と聞くと恐ろしいが、データを見ると季節性インフルの致死率は0.1%。60代ぐらいからリスクがぐっと高まるが、若年層では逆に致死率はとてもとても低い。だったら、どこに新型コロナ感染者がいるのか分からない今は、それこそテレビで専門家が言ってるように、「インフルなら数日で熱が下がるから」と、様子を見るのがベストなのかもしれない。理想論を掲げても仕方がない。理想と現実・現状のベストというのは、違うものだ。 そして、その日本のやり方がうまくいっているからこそ、死者数が増えないのではないだろうか? 医師が検査を求めたにもかかわらず拒否された例というのは、医師会が調査したところ7つの県と道で30件だったという。それほど「ものすごい数」の検査拒否というわけではない。 http://www.news24.jp/articles/2020/03/04/07604340.html 理由は、「まだ重症ではない」「地域の検査能力が足りない」。これから医師の判断が優先されるようになれば、医師側が「コロナか否か」で迷うケースは減るだろうけれども、陽性だと結果が出ても、軽症なら自宅待機で、という方向性は同じだろうと思う。 ただ、重症化したときに迅速に動けるということで、検査態勢の拡充の意義は大きい。 検査数が少ないことで死者数が増えてるなら猛烈に批判すべきだが、実際にはそうなっていない。ということは、重症者に力点を置く、そしてできる限り救命する、救命できる体制をパンクさせないようにする…という当初の日本の方針は間違っていないということになる。 まだまだ結論づけるのには早いが、メディアの(ある種の意図を持った)日本批判、政府批判、専門家批判より、実際のデータのほうが信頼できる。データを見ると、今のところ日本の「封じ込め」対策は、実はかなりうまくいっているのではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.08 09:45:39
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