https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10/dl/02-01-05.pdf
(2)輸入ワクチンの確保
日本国内においてはワクチンの生産量に限りがあり、必要量を確保できないという懸念から、
2009(平成 21)年 10 月 1 日の「基本方針」では「今後の感染の拡大やウイルスの変異等の可
能性を踏まえると、(略)優先的に接種する者以外における重症例の発生があり得るため、健康
危機管理の観点から、国内産に加えて、海外企業から緊急に輸入することを決定し、ワクチンを
確保する」こと「海外企業から 5,000 万人分程度を輸入すること」とされた。
なお、輸入ワクチンを国内で承認するために通常必要な試験や手続きをすべて行うと 2009 年
秋から冬の接種に間に合わせることが困難であったことから、薬事法上の「特例承認」*6 の手続きを用いることとし、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会での審議、パブリック・コメントの結果なども踏まえ、
2010(平成 22)年 1 月 15 日に行われた同審議会薬事分科会において「特例承認」を行うことが適当である旨の意見が取りまとめられ、同年 1 月 20 日、厚生労働大臣が特例承認した。
その際には、図表 1-5-5 のような条件が付され、安全性に関して厳しく注視していくこととされた。
また、国産ワクチンに加え、輸入ワクチンが特例承認されたことから、希望する国民全員
に対するワクチンの接種の見通しが立ったことを踏まえ、同年 1 月 15 日より、都道府県の判断
で健康成人への接種を開始することとした。
図表 1-5-5 輸入ワクチン特例承認に付された承認条件
① 本剤は薬事法第 14 条の 3 の規定により特例承認されるものであり、国内での使用経験が限られていることから、製造販売後調査を行い、本剤被接種者の背景情報を把握するとともに、安全性に関する
データを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じること。なお、製造販売後調査中に得られた情報を定期的に報告すること。
② 国内において、可及的速やかに高齢者における本剤の安全性および免疫原性[1]を確認するための製造販売後臨床試験を国内で実施し、結果を速やかに報告すること。
③ 本剤の使用に当たっては、本剤は特例承認されたものであること、その時点で得られている本剤の安全性・有効性の情報及び更なる安全性・有効性のデータを引き続き収集中であること等について被接種者に対して十分な説明を行い、インフォームド・コンセントを得るよう医師に対して要請すること。
④ 実施予定及び実施中の臨床試験については、可及的速やかに成績及び解析結果を提出すること。
⑤ (GSK 社製特例承認ワクチン)抗原バイアル[2]で認められる凝集について、凝集との関連が疑われる安全性についての知見が新たに得られた場合は、可及的速やかに報告すること。
⑥ (ノバルティス社製特例承認ワクチン)細胞培養時のシードウイルス[3]の同等性及び原薬に残留するBPL 濃度[4]について確認すること。
⑦ 国の接種事業のために特例承認されるものであることから、製造販売は国による買い上げ分に限定されること。
[1]免疫応答を引き起こす能力があること
[2]薬瓶のこと
[3]製剤の原料となるウイルスのこと
[4]β-プロピオラクトンの略。ウイルスの不活化処理をする際に用いられる。変異誘導及び発がん物質であるが、製造工程において加水分解されると説明されている。承認条件として、この濃度について確認することをノバルティス社に対して求めたものである。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.24 14:51:52
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る