私が医学部受験をした頃、もう30年近く前になりますが・・国立医学部は相応に難関でした。
当時、貧乏家庭に育った私は予備校に通うお金もなく、参考書や深夜のラジオ講座が先生でした。私立大学は寄付金や入学金、更には授業料が高額で選択肢には入らず、国立大学ならどこでもいいという状況でした。
宅浪でひたすら勉強していた訳ですが、元々秀才ではない私が地方の国立大学医学部に入学出来たのは奇跡だったのでしょうか?
振り返ると、起きているとき(ご飯食べて風呂に入る以外)は勉強しかしていませんでした。それ故、その年の出来事や流行歌など全く記憶にない空白の時が存在します。
今思えば、そこまでして医学部に進学する理由は何だったのか?自問するとハッキリした答えが思い浮かびません…
一方で、頭の良い人は旧帝大の医学部に現役で入学される、それも部活や遊びを両立しながら。受験生を取り巻く環境など様々な面で違うと言われればそれまでですが、仮に優秀な家庭教師、予備校の助けを借りれたら旧帝大の医学部に進学出来たか?いいえ、私はどうあがいても絶望的です。
人間の能力は、生まれながらにして様々な面で優劣があります。努力してある程度はスキルアップ可能ですが、どうしても越えられない自己の限界=資質が誰しもあるのです。一度聴いたら忘れない人と、三度繰り返さなければ覚えられない人ではどちらが効率が良いのかは明白です。
丁度、親戚の高校生が医学部進学を志しており、最近の受験情報を調べているのですが、医学部定員増にもかかわらず、更に難化していることに少々驚いています。
東大や京大に進学するのではなく、医学部に進学することを目標にする傾向にあるとか?そして私立大学までもが授業料を値下げしてまで学力のある学生を募る=軒並み難化しています。
医師はとてもやりがいのある職業だと今でも思います。病気が治って喜ばれる患者さんを見送ると、微力ながら自身の存在意義を再認識出来たりして気分が良いものです。こういう職業に就けたことは幸運であったと思うと同時に、ここに行き着くまでの紆余曲折は私なりに筆舌に尽くし難い困難の連続でありました。
もう今では物理や化学の基本的な法則さえ忘却の彼方にありますが、先の親戚の高校生のこともあって受験参考書を読んでみました。
金属のイオン化傾向はご存じですか?
K. Ca. Na. Mg. Al. Mn. Zn. Fe. Ni. Cd. Sn. Pb. Cu. Hg. Ag. Pt. Au.
これは覚え方がありました。 (金を)借ろうかな・・・
簡単に言うと水溶液中での陽イオンへの成りやすさですが、Au(金)が最もイオン化しにくいということは、反応しにくい性質=その輝きを失わないということです。金が貴重なのは、希少金属であることは周知の事実ですが、その本質は
金の性質が変わりにくいことにあるんですね。
単に受験対策として暗記するのではなく、自然界の本質的な現象を探求する学問だと認識すれば、化学は楽しく学べるのではないかと思います。
こじつけですが、ワインも時間が経てば酸化され劣化します。価格の高いものは、より良質なブドウを選び&手間隙かけて造られ、結果として空気に触れても長時間その性質を保ちます。
ワインの場合、金属のイオン化傾向ほど完璧な序列は存在しませんが、Au.のようなキュヴェを見つけるのが楽しいんですよ。なるべく低価格でねー(^_^;)