中国の反日と日本企業のリスク管理~日々雑感 2013/04/03(水)号~
日本人の対中感情が悪化しているらしい。2012年11月26日付内閣府「外交に関する世論調査」による「親しみを感じる」(「どちらかというと親しみを感じる」を含む。以下同じ)、「親しみを感じない」(「どちらかというと親しみを感じない」を含む。以下同じ)の比率は、主要国について次の通りとなっている。・米国…84.5% 対 13.7%・ロシア…19.5% 対 76.5%・中国…18.0% 対 80.6%・韓国…39.2% 対 59.0%・インド…47.0% 対 44.4%・東南アジア諸国…57.9% 対 35.3%・大洋州諸国…65.2% 対 28.5%・欧州諸国…68.0% 対 27.5%・中東諸国…18.9% 対 72.3%・アフリカ諸国…28.6% 対 62.1%(中南米・カリブ海諸国については省略)ちなみにこの調査、内閣府が「全国20歳以上の日本国籍を有する者3,000人」を対象に「層化2段無作為抽出法」により2012年9月27日から10月7日に掛けて実施したものであり、有効回答数は1,838人(61.3%)だったという(出所:「調査の概要」)。すなわち、内閣府の調査によれば、一般の日本人の8割以上が、中国に「親しみを感じ」ていないのだ。ちなみにこの比率は韓国(59.0%)よりも高い。一方、対韓国感情については、「親しみを感じる」と答えた比率が4割近くに達している。ただ、調査では「性別に見ると,『親しみを感じる』とする者の割合は女性で,『親しみを感じない』とする者の割合は男性で,それぞれ高くなっている」と指摘しているが、韓流ドラマ等にはまる女性と、それを冷ややかに眺める男性、という構図でもあるのだろうか?ただ、調査によれば、意外なことに若年層ほど韓国に親しみを感じており、その一方で70歳以上の人々は韓国に親しみを感じていないと示されている。※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ところで、日本側の対中感情が醒めている一方で、中国側は日本に対する反日感情が和らいでいるようだ。■反日デモから半年、日本製品ボイコットは回り回って中国自身に―――2013年3月29日付 ダイヤモンドオンラインよりジャーナリストの姫田小夏氏が執筆したダイヤモンドオンラインの記事では、冒頭で「積年の日本・日本企業・日本人への恨みが吹き出し、血祭りに上げるかのような中国での異常な騒ぎは、今ではすでに以前の静けさに戻ったかにも思える」と指摘。「しかしその一方で、今年1~2月、日本の対中投資は前年同期比で6.7%減少した。日本の中小企業もどんどんアジアシフトを加速させる動きが顕著になっている。」と述べている。非常に面白い現象だ。中国側は一時の感情で、反日暴動の愚挙に出たのだが、日本側はこれに対し、ステルス的脱出を加速させている、ということだ。以前、当職はブログでも指摘したことがあるのだが、日本人は相手に不満があっても、それを相手に伝えないで、自分たちだけで粛々と対策を打ってしまうという怖さがある(「サイレント・クレーマーの恐怖!~新宿会計士旅行記2011/05/23(月)号~」等をご参照頂きたい)。一時の感情で日本人に対する暴行を働いた中国人は、その行為によってストレスを発散する事はできたのかもしれないが、その代償として、日本人からの信頼を根底から失ったのである。日本企業の多くは、いまや、様々な障害を乗り越えてでも、「中国からの脱出」を最優先しているような感がある。「反日」の反対語は「反中」、ではない。「脱中」である。一時の感情で日本人を排斥しようとした中国人は、逆に、日本企業等からはリスク管理の一環として、忌避される対象となってしまっているのだ。