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カテゴリ:メールマガジン「読書クラブ」
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○●○ スマイリーの読書クラブ・新版 ●○● ********************************************** -スマイリーの読書クラブ- 1.ほぼ毎月一回発行です。 2.読書好きの方々に、多彩な書籍の情報をお送りします。 気に入っていただけたら、オンライン書店で、すぐに購入できます。 3.コンテンツは次のとおり。 (1)注目のビジネス書 (2)「今月のおすすめ書」または「新聞・雑誌の読書コーナーから」 (3)特集 (4)図書館の蔵書から (5)今月の心に残る言葉 (6)スマイリーの日記 4.登録・解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000131354.htm ***************************************************** -第5号(2006年2月13日発行)- 0.始めに 本好きの皆さん、こんにちは!スマイリーです。 元気にお過ごしですか。 近頃発行サイクルがすっかりいい加減になってしまいました。申し訳ありません。 (目次) 1.注目のビジネス書 ―萩野浩一朗「3秒でお客をつかむホームページの作り方」(翔泳社。1400円+税)― 2.今月のおすすめ ―岡田暁生「西洋音楽史」(中公新書。780円+税)― 3.特集:時代小説―平安時代編― ―高橋克彦「弓削是雄全集―鬼―」(講談社。4935円<税込>)― 4.図書館の蔵書から ―大前研一「日本の真実」(小学館。1400円+税)― 5.今月の心に残る言葉 6.スマイリーの日記「検索エンジンの楽しみ」 -安藤進「GOOGLEに聞け!英語の疑問を瞬時に解決」(丸善。1400円+税)- ************************** 本誌 ******************************* 1.注目のビジネス書 ―萩野浩一朗「3秒でお客をつかむホームページの作り方」(翔泳社。1400円+税)― ●この本は、30代のプロのコピーライターが、素人向けに書いたキャッチコピーのガイドです。実に印象的な、示唆に富んだ本です。全編これ格言集。論より証拠。具体的に内容を見てゆきましょう。 ●「第一章 お客がつかめるホームページ」から。「アクセスアップはお金をかければ簡単にできるが、それだけでは売れない。人の心をつかむホームページにする」、「『つかみ』を意識して、できているホームページはとても少ない」、「写真は見た目のインパクトはあるが、つかみ力は文字より弱い。つかめないページは『無意味なイメージ写真』が目立っている。」、「つかめないページは文字が読みづらい。文字が小さい、カッコつけた英文、変わったレイアウトなど。デザインに凝りすぎない。」など、独特の世界が展開されます。キーワードは「つかみ」です。 ●また、こうも言います。「キャッチフレーズは心をつかむためのもの。売るためには、キャッチフレーズで売るな。」そして、こう解説します。「『セブンイレブンいい気分』はキャッチフレーズではない。つかんだ後に聞かされるスローガン。押さえコピー。企業が言いたい結論である。」、「人の心をつかみ、広告内容へ誘導するのが、キャッチフレーズの役割である。」そうか、キャッチフレーズとスローガンは役割が違うのか。 ●「第二章 3秒でお客をつかむホームページの考え方」では、「いきなり売ってはいけない。まず来た人のココロをキャッチフレーズでつかめ。大きな字などで。」、「『一番売れるもの』と『一番売りたいもの』は違う。『一番売れるもの』を一番目立つ場所に出す。」、「トップページにはいろんな『つかみ』を用意し、何度もお客をつかむ仕掛けをつくる。(こぼれ玉を何度も拾う)パチンコ台のように。」、「お客はみんなクリックしたがっている。クリックして欲しいところをわかりやすくアピールする。次にリズム良くクリックさせる。文字量は100字以内に。」と、次第に実践的なってきます。「お客はみんなクリックしたがっている。」とはまた重要な指摘です。 ●「第三章 3秒でお客をつかむホームページの作り方」では、さらに突っ込んで、「買う理由を教えて、動機付けをしてあげる。」、「現代人は自分でものを買うストーリーを構築できなくなっている。」、「買う理由とは『お客』と『商品』を結び付ける線。『誰が買うか』『なぜ買うか』を考えよう。」、「モノとお客のつながりを考えよう。キャッチフレーズを100個(!)くらい書いてみる。例えば、『30代女性』というより、『紅茶の楽しさを知らないけれど、それを知ったら楽しくなりそうな人』と考えてみる。」と、より実践的なってきます。 ●こういう論法で議論を展開し、一気に最終章の具体的なアドバイスへ入ってゆきます。ヒントに満ちた、実にためになる一冊です。 2.今月のおすすめ ―岡田暁生「西洋音楽史」(中公新書。780円+税)― ●はっきりいって、クラシック音楽に興味のない人には、内容が少々重すぎるかもしれません。音楽史と西洋史ががっぷり四つに組んで、どちらも一歩も後ろに引かない感じです。しかし、クラシック音楽と西洋史の両方に興味のある方には、なんとも芳醇な知の世界が展開されていると感じるでしょう。 ●筆者は京都大学の助教授。噂によると学会で一番良い仕事をするのは助教授クラスだそうですが、本書を読むと納得です。 ●朝日新聞の読書特集で、阪大教授の鷲田清一氏(哲学)が本書の書評を要領よくまとめておられますので、内容を少々お借りします。 ●「クラシックは世界最強の民族音楽」、「『水平』進行から『立体』構築への変化」、「ドイツやウィーンでなく、ベネチアやフランドルとパリの音楽史における重要な位置」、「クラシックの創生期とポピュラー音楽の登場時に英国が占めた共通のポジション」、「バッハの方法と同時代の潮流の大きなずれ」、「交響曲と弦楽四重奏曲との対比が近代市民生活における公私の区別に対応していること」、「ベートーベンが社会主義や進化論と共有していた時間の概念」、「ベートーベンの技法と『勤労の美徳』の結びつき」、「器楽曲の出現と抽象美術との基本的な類似」、「音楽の限界を前にしてストラビンスキーとシェーンベルクがたどった反対ベクトル」等々。 ●どうです?知的刺激に満ちた論考でしょう。(以上) 3・特集:時代小説―平安時代編― ―高橋克彦「弓削是雄全集―鬼―」(講談社。4935円<税込>)― ●私は「陰陽師」ものが好きで、いろんな作家の作品に目を通していますが、作家としての力量と典雅な雰囲気作りという点では、高橋克彦さんと夢枕獏さんが双璧でしょう。 ●この本は高橋氏がいろんな出版社から出した「陰陽師・弓削是雄」シリーズを講談社の努力で一本にまとめたものです。私の場合、過去に読んだお話も含まれていましたが、ともかく一度読み出すと、この大部の本が途中で止められなくなり、寝不足をきたしてしまいました。 ●主人公、弓削是雄がまったく欲のない人物として造形されている点がこのシリーズの大きな魅力となっています。その是雄を慕う髑髏鬼、盗賊の首領の美女、土蜘蛛族の少年などが奇妙な仲間を形作って、悪鬼に対抗してゆきます。 ●当時の朝廷の主が「物狂い」であったり「関白太政大臣」が自分のことしか考えない鬼より恐ろしい人物であったりと、風刺もたっぷりきいています。 ●ただ時々、近代的な、あるいは西洋的なイメージが混じるのはご愛嬌です。死んでゆく可愛い幼女の霊が、背中に羽が生えていたり、皆にキスをしたり。最も感動的な場面であっただけに、私は少々がっかりしました。 ●(以上) 鬼 4.図書館の蔵書から ―大前研一「日本の真実」(小学館。1400円+税)― ●図書館で偶然手に取り、ぱらぱら開いていたら、いきなりこんな箇所に出くわしました。ちなみにこの本は2004年7月に出版されたものです。 ●「日本のマスコミは、ものの見方が偏狭で極端だ。一例は、卓抜した起業家、優れた経営者に関する報道の論調であるリクルートの江副浩正さん、ダイエーの中内功さん、イトーヨーカドーの伊藤雅敏さん、ユニクロの柳井正さん、日本マクドナルドの故・藤田田さんらが成功している時は持ち上げるだけ持ち上げておきながら、失脚したり業績が悪化したりしたら、その途端に手のひらを返して『落ちた偶像』に仕立て上げ、悪いことばかり書き立てる」。 ●ちょうどライブドアの堀江貴文氏が叩かれはじめた矢先のことでした。私は、「時代の寵児」が一挙に「落ちた偶像」に仕立て上げられる過程を目の当たりにしながら、マスコミの臆面もない豹変と、集中豪雨的な一方的な報道に、首をひねっていたところでした。大前氏によれば、これはマスコミ得意の『死の方程式』(?)なんですね。 ●これはじっくり読まねばと、図書館から借り出して、腰をすえて読み出すと、どれもこれも思い当たることばかり。いわく、「政・官・財・マスコミ・学界の癒着」「本当の改革は何もやっていない小泉首相」「取り残された港と空港」「小選挙区の弊害」「消費税16%になぜ反対しない?」「道路の制限速度の不思議」「日本ほど消費者金融が栄えている国はない」「新聞の発表記事を鵜呑みにしてはいけない」「屈折する日本人の『愛国心』」「教育を憲法で再定義せよ」「なんでもかんでも超法規」等々。 ●筆者の歯切れのいい文章と明確な主張には蒙をひらかれる思いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.12 19:26:55
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