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Jan 16, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
 謙信は常のごとく、小梅を肴に酒を楽しんでいる。今度こそ関東を制覇する、

 まずは相模の北条家の居城小田原城を陥す。

 謙信の脳裡に三国峠の景観がよぎった。なんど峠を越えたことであろうか、

こんどこそ長年の決着を果たす。

 それにつけても時代は様変わりしている、謙信の宿敵であった武田信玄は、

五年前の上洛途中で病没した。関東の雄、北条氏康も他界している。

 これからは安土の織田信長との勝負となろう、織田勢は加賀、能登、越中へ

と兵を侵攻させてきたが、手取川の合戦で織田勢を完膚なく叩きつぶした。

 この戦(いくさ)が終ったら、本格的に織田勢を叩きつぶす。謙信は満々たる

自信をひめ、酒をあおっていた。

「お屋形さま、仙桃院さまお成りにございます」

「おう、姉上さまがおこしか。お入りいただけ」

 取次ぎの樋口与六兼続に命じ、謙信の躯に喜びが奔りぬけた。

「お屋形さま、今宵もお酒をたしなんでおられますか」

 衣擦れの音とともに、仙桃院が優雅な姿をあらわした。

「本丸におこしとは驚きました。お座りくだされ」

「お会いしたく参りました」  「お楽になさって下され」

「このたびのご出馬は、天下静謐(せいひつ)のためとお聞きいたしました」

「左様、関東の北条とは最後の合戦といたしたい、つぎは上洛にござる」

「その勇ましさは昔と変わりませぬな」

 仙桃院がかたわらに座した、気負いのない自然な態度である。

「半年か一年の軍旅となりましよう、さすればこのように春日山城と最後の別れ

の一献を楽しんでござる」  「最後なぞ不吉な、さあ、酌などいたしましょう」

 謙信はさされた春日杯を一気にあけた。  「美味うござる」

 小気味のよい音をさせ、小梅を種ごと噛み砕き謙信が笑みを浮かべた。

 そっと仙桃院が謙信の手を握った、少し汗ばんだ暖かい手の感触が謙信の心

を和ませる。  「幼き頃はよくこうして頂いた」

「景勝も影虎殿も、ご一緒に往かれますのか?」

「我が上杉家の総力をあげた合戦にござる。・・・じゃが影虎には実家にござる」

「そうですか」  ひっそりと仙桃院が謙信の躯に寄りそった、またもや嗅ぎなれ

た芳しい匂いが漂った。

「お屋形さま、上条政繁(まさしげ)さま拝謁を願ってお出でにございます」

「しばらく待つように申せ」  兼続が足音を忍ばせ廊下を去った。

「お忙しうございますな、わたくしは失礼いたします。ご無事なご帰還をお祈り

申しております」  仙桃院が燃えるような眸で謙信をみつめ立ち上がった。

「姉上、もう少しお話なぞしたい」  頭巾(ずきん)をかむった謙信が止めた。

「今宵、半刻でもお出で下され、お待ちいたしております」

 小声で訪れを待つと囁き、素早く部屋を辞していった。姉上が、わしを待って

おる。謙信が信じられないという顔つきをし小首をかたむけたが、徐々に顔色が

朱色に染まった。

「上条政繁さま、お成りにございます」  仙桃院が帰り、兼続が気を利かしたの

だ。 「せっかくのお寛ぎ中、お邪魔をいたします」

 上条政繁は数奇な運命をもった男である。能登、七尾城の守護畠山義続(よし

つぐ)の次男であったが人質となって春日山城にきた。今は謙信の養子となり、

上条上杉家を継ぎ、上条城主となり一手の将となっている。

 年は二十六歳で、影虎が長男なら次男の年齢で景勝の兄にあたることにな

る。「政繁、いかがいたした」  「お願いの儀がございます」

 大兵の若者で厳つい容貌をしている。  「申してみよ」

「はっ、この度の関東攻めには、ぜひ先陣を仰せつけ下され」  「先陣と」

 謙信の眼光が強まった。

「はっ、拙者は人質の身からお屋形さまのお蔭をもちまして、上条城を任されまし

た。この度の戦は上杉家が命運をかけた合戦と心得ます、お屋形さまのご恩が

えしの意味で、先陣を承りたくお願いにあがりました」

「政繁、上杉の先陣はわしの務めじゃ。これが上杉家の軍法なのじゃ、じゃが

そちの心意気しかと感じた。わが脇備えを命ずる」

「有り難き仰せ、政繁身命をかけお屋形さまの脇備えをいたします」

「我が戦だて、確りと目に焼き付けるのじゃ」

「はっ」  上条政繁が勇んでもどっていった。

「兼続、政繁をどのように見る」 「はっ、申し分ない脇備えかと存じます」

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Last updated  Jan 16, 2007 10:15:11 AM
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