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Sep 20, 2014
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「信虎の謀略は成功するか」(57章)

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「余の考えも舅殿と同様じゃ、我が今川家が総力をあげての上洛じゃ。

誰に遠慮がいるものか」  

 義元が鉄漿をみせて嘯いた。

 余は東海一の弓取り者、東海の覇者と異名される武将じゃ。

 義元にはそうした驕りがあった。

「義元殿、軍勢の人数と上洛の武将の方々は決まりましたかな?」  

「それが?」

 信虎の問いに義元が不審な顔付をした。

「この隠居にも上洛軍には些か考えがござる、聞いて頂けますかな」

「お待ち下され」  

 しわがれ声をあげた人物は宿老の一人、三浦成常であった。

「此度の上洛は今川家の念願にございました。しかるにこの重要なる軍議

に、武田の舅さまをお呼びに成られたのは、この三浦は納得が参りませぬ」

 大広間が凍りついたように静寂した。

 一座の武将達、全員が三浦成常と同じ疑問を感じていたのだ。

「これは失礼をいたした、三浦殿のお言葉耳に痛うござる。義元殿、

わしはこれにて下がらせて頂きましょう」  

「舅殿」  

 義元が驚いて腰を浮かせた。

 信虎は魁偉な風貌を和ませ手で制した。

「軍議の席をお騒がせして申し訳ござらん。もし倅にご用が御座れば、

後日、お聞きいたそう」  

 信虎は義元と一座の武将に頭をさげ大広間から立ち去った。

「お弓、酒じゃ。祝い酒をもて」  

 戻るや信虎が声を張り上げた。

 腰元がお弓の指図で酒肴の用意を整えている。信虎はお弓の介添えで

普段着に着替え、先刻の城内の出来事を語って聞かせた。

「ようやく上洛が決まりましたか。永いあいだご苦労に存じましたな」

 お弓が嬉しそうに顔を染めた。信虎の苦労を知っているからである。

 この為に甲斐を捨て駿河に来たのだ。

「うむ、すぐに河野晋作と尾張に潜入しておる小十郎を呼び出すのじや。

それに岡崎城の川田弥五郎には、特に念入りに申し聞かせるのじゃ」

「あい、直ぐに手配をいたしましょう」  

 お弓が素早く部屋から去った。

 信虎が書院にもどると酒肴の用意が整っていた。

「その方どもは下がれ、わしを一人にいたせ」  

 腰元に命じ大杯を満たし酒の波立ちを眺めた。長かった、これが信虎の

心境であった。

 この為に数々の謀略を続けてきたのだ。

 甲斐の山河が懐かしく、信虎の脳裡をかすめた。

 微かな足音が聞こえ、お弓が信虎の前に物静かに座った。  

「知らせたか?」

「あい、この度は鳩を使いましたぞ。明日には全員が揃いましょう」

「そちも飲め、今日の良き日を祝おう」  

 信虎の魁偉な容貌が心なしか、もの悲しそうにお弓には見えた。

 黙して杯を口に運び、二人は静寂のなかで過去を振り返っている。

 信虎、六十六才の時であった。

「わしは己の意志で甲斐を捨て十九年にもなる。駿河を甲斐が支配する

夢が漸く叶のじゃ」  

「わたしも四十ちかくになりましたぞ」

「もう、そのような歳になるか? 良くわしに尽してくれたの」 

「大殿、今宵は一緒に眠りますぞ」

「もう抱いては遣れぬが、勝手にいたせ」

「あい、そう致しますぞ」

 信虎の心の奥がきな臭くなった。それはお弓の所為であった。

 翌日、駿府城から関口一左衛門が使者として隠居所を訪れてきた。

 彼は今川一門の関口氏広の縁戚にあたる若者で、義元の小姓を務め、

今は旗本として義元を警護していた。

 彼は義元の口上をもって訪れて来たのだ。

「関口殿、ご苦労に存ずる」  

「御屋形さまのご口上を持って参上いたしました」

 関口一左衛門は、武者面の良い精悍な相貌をした若武者である。

「義元殿が?・・・わしに何の口上にござる」  

 信虎が関口一左衛門を見据えた。

「昨日は城内で失礼いたしたとの御屋形さまのお言葉にございます」

「なんの、わしが出すぎたまでじゃ」

「上洛の陣構えが決まりました。出陣は五月十日との事にございます」

 一左衛門が出陣の日取りを語り、若々しい顔で信虎の反応を窺っている。

「・・・あと三ヶ月にござるか」  

 信虎が低く呟いた。

「先鋒は井伊直盛さま、松平元康さまと決まりましたが、掛川城主の朝比奈

泰朝さまも途中で加わり、総勢五千の軍勢で本隊に先駆け出陣いたします」

「いずれも強兵じゃ」  

「信虎さまに異存なきや?」  

「わしに異存なんぞはござらん」

 流石は義元である。先鋒隊の武将の任命は的を得た人選である。

「前備え左右備えは遠江、三河の道筋の城主が務めます。その勢、

約一万で進み、本隊が後続いたします」  

「本隊の勢力はいかがじゃ?」

「駿府よりは五千名を引きつれ、後備えといたし高天神城の小笠原氏興

さまに二俣城主、松井宗信さまの兵力五千が加わります」

「総勢、二万五千名にござるか?」  

「左様」  

「尾張攻撃の部署ぎめは、何処で為される積りにござる?」  

「さだかで判りかねますが、岡崎城かと推測いたします」

 若いが関口一左衛門が、信虎の質問に澱みなく答えている。

「さすれば今川家の上洛軍は、大高道を進まれますか?」  

 信虎の眼が燃えた。

「拙者も左様心得ます。たかが二、三千の尾張勢、先鋒隊で片がつきましょう」

 関口一左衛門が不敵な面をみせた。

「以前に義元殿に忠告いたしたが、先鋒隊と本隊の間隔を空けるようにとな」

「何故にございます?」  

 関口一左衛門が不審顔で訊ねた。

「三河から尾張に抜ける街道の両側は深田地帯で道が狭い、万一、敵の

奇襲を受けるような事態となれば、本隊の進退に影響いたす。まず丸根砦、

鷲津砦を落すまでは本隊は首尾を眺め、一気に尾張領に進撃いたすことが

賢明な作戦に成りましょう」 

 信虎が吹き込むように語った。 

「三河、尾張の街道はそのように狭うございますのか?」

「関口殿、上洛軍が駿府から出陣する街道の道幅をご存じか?三河まで

の街道の道幅も二間(三・六メートル)ほどでござる」

「成程、この駿府の道幅も二間にございますな」

「その街道を二万五千の大軍と小荷駄隊が延々と行軍するのじゃ。壮観な

眺めと申すよりも、わしは危うい光景に映りますな」

 信虎がけしかけるような口調で言い放った。

「幅二間の街道を二列縦隊で進むとしたら、先頭と後尾までの距離は測りがたい

ほどに御座いますな」

 初めて関口一左衛門の顔に不安の色が湧いいる。

「出陣まで日時がござる、三河から尾張に入る地形を自分の眼で確かめられよ」

「有り難い忠告、拙者がじかに物見をいたしましょう」

「道の両側の深田を存分に見て参られよ」

 信虎が言うごとく、大正年間の地形図には、坂道は一間(約一.八メートル)

から一間半(約二.七メートル)の道幅を持つ里道として記載されているが、

平成二十五年現在でもとりわけ、大字有松地内における市道の道幅は二.七

メートル以内の狭隘な箇所が多く、舗装がなされている以外はその様相は

昔からほとんど変化が無いことが見て取れる。と言う記述が残っている。

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Last updated  Sep 20, 2014 02:58:38 PM
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