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テーマ:猫の病気と治療日記(296)
カテゴリ:猫ホスピス
「あらた」という猫は、 2012年6月、兄弟3匹でレスキューした1匹でした。 ![]() 兄弟3匹… 「パルボ感染症」に感染していました。 生後わずか三週間だというのに… ![]() 当時、隔離室もなかった保護家では、 物置にしてたここの駐車場で隔離しました。 (現在の保護猫カフェ部分です) ![]() まだまだ甘えたい盛りの時期に、 人と接する事も遮断されたケージ生活。 兄弟3匹、この悪環境中本当によく頑張りました! 無事、兄弟3匹パルボから生還し、 あらたの兄弟2匹は、 新しい飼主さんがみつかり、 保護家を卒業していきました。 その一方で・・・ あらたは、次々に色んな病気にかかり、 色んな薬を服用してきました。 そして、「食道拡張症」という食道肥大で 食事の管理も必要になりました。 ![]() その他にも、あらたは、 何度も何度も大きな試練(病気)を 与えられ続けてきました。 生まれたときから、ずっと、ずーっと…。 ![]() 「いのちのはうす保護家」の進歩と共に、 あらた自身もまた、色んな部屋を渡り歩きました。 ![]() 事務室、 ![]() 旧・猫部屋(現在の老犬ホスピス部屋)、 ![]() 大部屋(現在のカフェオレンジルーム)、 ![]() 病気療養室(現在のファーム部屋)、 ![]() プレハブ(現在の老犬デイサービス部屋)、 きっと、あらたのように全部屋を制覇した猫は いないんじゃないかな? 「あらた!すごいよ!保護家の記録者じゃん! でもね、あらた… この部屋にだけは…まだ来ちゃいけなかった。 あらたにはまだ早すぎるよ… だって、まだ6才やとよ?」 あらたが次に移動した部屋は・・・ ![]() 猫ホスピスルーム ![]() あらたは、腎不全になった…。 ![]() あんなにコロコロしてて、 ツヤツヤだった毛も… ![]() 日に日にやせ細り、 毛もバサバサになっていった…。 ![]() 夜は、一緒に過ごしました。 私の胸の上で寝るのが、 あらたのお気に入りだったけど、 息苦しくて目が覚めてしまう。 「あらた!ちっと降りてよ!ママが眠れんがね!」 あまりに休息が取れず、夜はあらたを ケージに入れて寝るようになったけど、 ![]() ある夜、ふと目を覚ましたときに、 あらたが私の胸の上で スヤスヤ眠っている事に気付きました。 数日前までは、息苦しくて目が覚めてたのに… もうあらたの重みを感じなくなっていたのです。 その位、あらたは小さくなっていたのです。 ![]() 「あらた…ごめんね。」 この日の夜、私は初めて あらたを抱きしめて泣きました。 そして・・・ あらたの物語が、次々と映像や声となり、 フラッシュバックのように出て来たのです。 封印してた扉が、開いてしまったかのように…。 ![]() あらたの兄弟2匹は、長毛のキジで いわゆる「美猫」と言われていました。 あらたはいつも美猫兄弟の 後や隅っこに追いやられていたのですが、 当時はそれがあらたの立ち位置のように 当たり前のようにそう思っていました。 3兄弟、譲渡会にも積極的に参加していたけど、 「キレイな兄弟ね~」 「雑種じゃないでしょう?」 「かわいい~」 兄弟2匹と同じケージに入ってるあらたには、 だれも見向きもしませんでした…。 ![]() 「兄弟なのにね~…可哀想にね」 「引き立て役」 「残念な子」 そんな声が、譲渡会の度に聞こえて来てました。 あらたも兄弟のように長毛で、 いわゆる美猫で産まれて来てたら、 譲渡もあっという間に決まるのかな? 猫も人間と同じなんだ… どんな姿で産まれて来たかによって、 同じ兄妹でもこんなにも運命の差があるのか… ![]() あのときに感じてたあらたへの思いが、 6年後の今になって思い出されたのです。 あの時の感情をなぜ、私は封印していたのか? なぜ、その必要性があったのか? 「あらた」は、私だったから…。 私の姉と弟は、お人形さんのように可愛い人で、 知らない大人やお兄さんお姉さんたちが、 「可愛いね~」「どこの子?」と、 私達姉妹を取り囲む。 でも、私の事は誰も見ていない。 必ず聞かれるのは「もしかして姉妹?」 コクンとうなずくと、笑われたり、 気の毒そうな眼を向けられたり…。 「え~可哀想やね!」という言葉を今でも覚えています。 ![]() そう・・・ あらたへと向けられた反応は、 幼少期の私が周囲に向けられてたものと 全く同じだったのです。 自分の人生を重ね合わせて、 あらたを見ていたのかもしれません。 惨めな過去を思い出したくなくて、 6年間、あらたへの感情と一緒に 封印してた事に気付きました。 「あらたは私なんだ!そして、私もあらたなんだ!」 ![]() 次第に弱っていくあらた…。 一日中、ウロウロ歩き回ったり、 トイレの砂を食べたり、 奇行が続くようになり、病院に連れて行くと… 「あらた君は…腎不全末期に入りました」 獣医師さんからそう告げられました。 「ねぇ、あらた…母ちゃんはね、 いつも姉ちゃんと比べられて、 出来損ないって言われながら育ってきたとよ。 ねぇ…あんたも出来損ないやと? こんまま死んで良いと? 出来損ないの末路ってこんなんやと?」 ![]() あらたの6年という時間は一体…? 子猫の時に、兄弟と容姿を比較され、 何度も何度も病気から這い上がってきた! …それだけの猫生やったって事? そのためだけに生まれてきた命やと? このままこの中の1匹でない猫生… 最後くらい、最期くらい、 あらただけの何かを残したい! あらたは私だから。 そして、私もあらただから。 ![]() その日の夜・・・ 保護家のグルーブラインにて、 スタッフ、ボランティアさんにお願いをしました。 ![]() 2018年4月7日、 生まれて初めて「譲渡書」を書きました。 譲渡書を書き終えたこの日、 皆さんの気持ちが初めて分かりました。 譲渡書はただの紙切れではないって事を…。 これが、「家族」になる第一歩となる 大切な約束の証なんだという事を…。 ![]() 4/7、あらたを抱っこして外をお散歩しました。 久しぶりの外の空気、太陽の光… 猫ホスピスルームには戻らず、 私のパソコンルームに連れて行き、 あらたを横に寝かせながらの事務作業。 「あらた、直ぐに戻るからちょっと待っててね。」 スタッフに、書類の最終仕上げをしてもらうため、 私は、一旦あらたの元を離れました。 ![]() ちょうど二時間置きの授乳が必要な 子猫達もレスキューしていたので、 事務所に来たついでに…と、授乳もしてから あらたの元に戻りましたが… ![]() あらたは・・・ 息絶えていました。 ずっと、ずっと、目を離さずに一緒に居たのに! なんで、わずか20分離れた時間に! ![]() ※後半・「あらたが遺してくれたもの」に続きます…。 「ハンデのある猫達の保護猫カフェ・HOGOYA」 http://www.hogoya.nyanta.jp/ いのちのはうす保護家」 皆様のご協力ご支援どうかよろしくお願い致します。 宮崎銀行 加納支店 普通口座 104601 口座名義:動物たちの未来のために 代表 山下 由美 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年04月19日 11時43分01秒
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