ラーメン♪その3 ~最終章~
● スープラーメンの種類には、醤油,味噌,塩,トンコツ,魚介など様々有り、さらに塩トンコツや、味噌トンコツ等と分派される。スープこそ、ラーメン屋にとっての秘伝であり生命線となっている。しかし、私は常々思うのだが、職人はどうして技術を隠したがるのだろうか。昔からそうなのだが、料理に限らずあらゆる職人は、己の技術を秘技として隠したがるのだ。その技術を公開して、縁もゆかりもない人に真似され儲けられたら嫌だといったところなんだろう。ワタクシからいわせれば、なさけないの一言である。ひとつの栄冠を手にしたら、過去に甘んじることなく常に次を目指すDAVID BOWIEを見習ってほしい。スープを美味くするには、良質な多くの原材料をじっくり、丁寧に、熱を与えることだ。軟水を利用して、これだけの事をすれば、美味しくなるのだ。しかし、日々、同じ味でないといけない。これが大変。そこで登場しちゃうのが、グルタミン酸ソーダ(グルソー)だ。いわいる“味の素”だ。原材料が常に全品入荷できるとも限らないし、十数時間煮込むのも客数が多くなると、間に合わなくなる。例えば、客数を一日50名様に限定する店にすれば廻せるとしよう。一人700円支払うとして計算いただければわかると思うが、仕入れ代と家賃払って、なんとかやっていける状態だ。ここで、断った客の数を思い浮かべるオーナーの脳裏に浮かぶのは、グルソーだ。これをほんの少し加えるだけで、万人ウケする美味しさが手軽に手に入ることを知っているから。そして、グルソーを加えた一年後には、大方の客にバレて閑古鳥が鳴く。グルソーの良くないところは“万人ウケ”。これは良い事に思えるが、左にあらず。無難な味ほど興味がうせる。 ファミレスが飽きるのと同じ。貪欲に拡大経営を突き進む若きIT企業の社長が、ワタクシにはどうしても好感的には思えない。なぜ、巨大化したかったのか己でも分からなくなり、今は惰性だけの高速で突き進む超特急のように思えてならない。超特急でも惰性では、いつか失速してしまう。この会社は50年後に、今の松下やホンダのようには、なっていないだろう。わずかなカウンター席だけで「行列のできるラーメン屋」と、評判だった店が、店舗を新築拡大した途端、話題にもならなくなった事を目の当たりにして、IT企業の社長サンを思い浮かべた。(行列のできるラーメン屋は、もともと“美味しいラーメン屋”ではなかったけどね!)横尾けいすけ