|
カテゴリ:ペルー生活
この話は本当にあった話です。
少し長くなりますが、リマ在住の人に参考になるかもしれないので紹介することにしました。 金塊マジック 晴れた特別な日。 私は閑静な住宅地をスタスタ歩いていた。 困り果てたという顔をしたおばさんに「すみません助けてください」と、ふいに道を尋ねられた。 すぐに分かる道の名前でなかったので「ちょっと分からないです」と言っているところ。 そこへ通りかかった白シャツにネクタイの白髪のおじさんが顔を出し、おばさんが手にしているメモ用紙の一番下に書かれている住所を見て「どれどれ?この住所はずっと遠い地区でこの近所じゃないですよ」と説明した。素早くメモの内容に目を通したらしいおじさん「しかしそのメモには妙なことが書いてあるな・・・」とブツブツ言っているところ、おばさんが落ち着きなく「ああ、どうしたらいいのやら、田舎の農村から出てきたところで右も左も分かりません。お願いですから助けてください」と泣き声を出してポケットからゴソゴソ何かを取り出す。紙につつまれて出てきたのは金貨(!?)が10枚ほど。 「これを両替して妹の眼の手術に使いたいのだけれど・・・・」 おじさんが「おお・・・・!それは金だろう?!よし、すぐ近くに両替商の店に知り合いがいるので、まずはそこで金が本物かどうかを調べてそれから考えよう」すぐ目の前の大きな家を指して「僕はこの家に住んでいる者で医者だ、心配はいらないから。まずこの車で移動しよう、座って落ち着いて考えよう」とその家の前に置かれていた車に乗り込むことになった。その辺りが安全な高級住宅地だと知っているだけに、その家の主だというだけで安心した。 たまにおせっかいで暇な人がいる世界なので妙にリーダーシップをとってくれるおじさんがいても何も不思議ではない。私としては都合よく現れたおじさんにお任せして立ち去りたいところだったが、おばさんが「このおじさんだけでは不安だからもうしばらく付き合ってくれ。私としては女性の貴方の方が信頼してます。お願いですから・・」と泣き声でいわれしばらく付き合うかと腹をくくった。 実はそのメモにはこんなことが書かれていた。私はおばさんに声を出して読み上げてやった。 「私の友達**さんへ この女性は私が一時期雇っていた者ですが、大変な価値のあるモノ(金)を持っています。この女は文字も読めないし、金の価値も何も分からない、ひどく無知な人間なので、金を両替すると言って沢山あなたがコミッションをとることができるのでそうしてください。この手紙の内容は絶対に秘密にしてくださいね。では、うまくやってください・・・・」 パトロンが書いたという友人への紹介文ということだが、たまたま住所で迷ったおかげでこのおばさんは騙されずに済んだのだ。手紙を読んでやってもオバサンは意味がよく分からないらしく「なにか悪いことが書かれてますか?」ときくので「あなたを騙そうとしてたようですよ、でも、もう大丈夫だから」私はすっかり正義感に燃えつつあった。シピボ族の人たちでもそうだが、たまに、何度話をしても理解できない人や、リマに何度来ても道に迷う人がいて呆れることが多いので、「ひどく無知な人がいる」というのは割とすんなり受け入れられたのだ。無知をを利用しようという人間を許せない。 たまたまこの日、これから友人から新品のミシンを買いとりにいく用事があり、いつも一緒の子供は友達の家に預けていた。いつもなら目的地に急いでいることが多いがこの時ばかりは少し時間に余裕があった。滅多にこういう自由時間はない。これは神様の導きかもしれぬ。たまには人助けに付き合ってみるか」とそう思ったのだ。 「大丈夫、ちゃんと最後まで付き合ってあげるから心配しないで」と私は、すがるような眼を向けて私を引き止めようとするオバサンの肩をそっとたたいてうなづいてみせた。 つづく あと2回くらいに分けます。 追伸 これは古い記事ですが、続きは右上部の〈新しい記事、をさかのぼって最後まで読めるみたいです、最後はとんでもない結末が。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ペルー生活] カテゴリの最新記事
|