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テーマ:政治について(19783)
カテゴリ:政治
「ムン・ジェイン(文在寅)大統領と韓国政治」に関するNHKのQ&Aです。NHK的な中立の立場からコンパクトにわかりやすく説明されていると思います。
帝王的大統領という表現が面白いです。大統領が変われば、官も民もガラガラポンになるというのでは何百年経っても国は安定しないように思います。 保守派・進歩派の対立が続く中で迎える2020年4月の総選挙が重要だそうです。この選挙で、ムン大統領の与党の進歩派が勝てば、次の大統領選も勝てる機運が高まるとのこと。 徴用工問題をきっかけに開いたパンドラの箱の結末は果たしてどうなるでしょうか。たとえ民間の交流はあっても、長年のいくつもの問題が一気に片付いてこれまで以上に仲良しになれるとは思えませんが。 ■参考リンク 1からわかる!ムン・ジェイン(文在寅)大統領と韓国政治(1)2019年12月16日 (聞き手:工藤菜摘 鈴木マクシミリアン貴大) 1からわかる!「ムン・ジェイン(文在寅)大統領と韓国政治」(2)2019年12月20日 (聞き手:工藤菜摘 鈴木マクシミリアン貴大) 抜粋 権力超強大!「帝王的大統領」とは? 政権交代すると、どうして政策を180度変えることができるんですか? それは、韓国では大統領にすごい権限が集まっているからなんです。選挙で勝って大統領になると圧倒的な権力者になるので、「大統領は帝王」「帝王的大統領」って言います。 帝王ってすごいネーミングですね。 なぜ、そんなに権力を持てるんですか? それは、「予算」と「人事」をぎゅっと一手に握っているからなんです。特に強いのは「人事権」ですね。 自分と同じ考え方のひとたちを重要なポストにばーっとおくんです。大統領によって決まるポストは、1万もあるとも言われています。 1万!?すごいですね。 さらに企業もそんなことする必要はないのに、社長を突然変えたりするんです。 民間企業にまで影響が及ぶんですか? いわゆる「忖度」ですね。さすがに民間企業の人事権を大統領はもっていませんが、民間企業側が「忖度」するんです。 今の社長はバリバリの保守派だからムン大統領とはあわないと社内で協議して、ムン大統領にあいそうな人を社長にするとか、大統領と同じ出身地の人を社長にするとか。 そこまでするんですね。 メディアもそうですよ。韓国って保守派か進歩派どっちかに所属しないと、何だろうな、上に上がるチャンスがないっていうふうに思っているような…。 だから、政権交代が行われると、韓国社会全体で、人事の一大シャッフルが繰り広げられます。どーんと、ドミノ倒しみたいに。 「帝王的」と言われるのも分かる気がします。 そもそも韓国の大統領の任期は何年ですか? 5年で再選なし。なので5年1期だけなんです。 え、再選できないんですか? 1回限りです。 じゃあ、大統領が変わって、政権交代すると、また政策がガラガラポンになってしまうんですか? そうなるかもしれないので、ムン大統領はもう次の大統領のことをとにかく考えています。絶対に保守派に権力を渡してはいけないという思いがすごい強い。 1からわかる!「ムン・ジェイン(文在寅)大統領と韓国政治」2019年12月27日 (聞き手:工藤菜摘 鈴木マクシミリアン貴大) 抜粋 韓国の”広場民主主義“ スキャンダルに対して国民はどう思っているんですか? 韓国の人たちって、「大統領が間違ったときには国民が立ちあがってただす」という思いがすごく強いんです。 もともと朝鮮半島って地震も少ないし、台風の影響もあまりないんだ。 日本人は自然災害が多いので、「災いは天から降ってくる」と思っているところがあるけど、韓国の人たちは「災いは人がもたらす」っていう考えがすごく強いんですよね。 韓国ってデモがすごく多い印象があります。 デモ多いんだよね。選挙ももちろんあるんだけど、それよりも直接広場に行って、自分たちの不満をぶつける方がてっとり早いから、みんなすぐ街頭に行って声をあげる。 「広場民主主義」っていう言い方もあるくらいなんです。 昔からそうなんですか? 社会を少しずつ正しい方向に持っていくためにそういう直接的な行動を、積み重ねてきたというのが、韓国の人たちにとってはある種の成功体験なんですよ。 初代大統領政権への反政府デモ(1960年) 「自分たちは不正を追放した」「独裁的な大統領を権力の座からおろした」という成功体験がある。 だからこそ、デモに参加して、直接声をあげようという機運が生まれるんですよ。 いまもデモが多いということは、国民の不満は大きいんですか? 受験戦争や就職は厳しいからね。 特に就職に関しては、韓国の場合、財閥・一流企業、大企業ばかり目指すという風潮が強い。 財閥企業は、経済を引っ張る牽引力はあるし華やかではあるんだけど、雇用はあまり生んでないというのも現実なんですよね。 大きな企業を目指す人が多いから、就職難で不満はたまっていくんですね。 個人的にはデモは多すぎるとも思うけど、必ずしも悪い事ではないと思うんだ。 それだけ政治に関わるという意味では、韓国政治がダイナミックに動いているともいえるよね。 さらに、保守派、進歩派で分断されていて、自分はどっちに入るか、二者選択を迫られる。どちらかに所属しないと、上に上がるチャンスがないと思ってるところが韓国国民にはあるんだよね。 分断する政治に国民は 国民は、保守派と進歩派のどちらを支持する人が多いんですか? それが、真っ二つなんですよね。 よく言われるのは、なにがあっても「保守派」支持者3割。なにがあっても「進歩派」支持者も3割。 そして残りの4割を常に奪い合っているという構図なんだ。 分断はなかなか解消しそうにないんですね。 若者はどうなんですか? いい質問ですね。まず、年代の高い人たちの話しをすると、どちらかというと、保守派を支持する人が多いんだよね。 なぜかというと、朝鮮戦争を覚えている世代は、戦争で悲惨な目にあって、なんとか国を守ったという思いがある。 だから、北朝鮮はいまだに大嫌いなので保守派を支持する人は多いんですよね。 北朝鮮に厳しい保守派を支持するんですね。 一方で、若い人は、当然朝鮮戦争も経験していないし、どちらかというと、もっとフェアな社会、公正さを大事に思ってるんでどっちかというと進歩派の支持が多い。 じゃあ若者は北朝鮮にも融和的なんですか? それがそうでもないんです。若い世代は実は、北朝鮮にあまり関心がない人が多いんですよ。 北朝鮮にシンパシーもないし同じ言葉しゃべってるかもしれないけど全然別の国だよねっていうね。 ただ、みんなが政治に参加できて、進学や就職もフェアな社会であるべしという思いが強いから進歩派なんです。 保守派と進歩派の対立が続く中で、進歩派のムン大統領はこれからも政権を続けられそうなんですか? まず重要になってくるのは、2020年4月の総選挙です。 韓国の国会は一院制なんだけど、この選挙で、ムン大統領の与党の進歩派が勝てば、次の大統領選も勝てる機運が高まります。選挙結果に注目です。 1からわかる!「ムン・ジェイン(文在寅)大統領と韓国政治」(4)2020年01月22日 (聞き手:工藤菜摘 鈴木マクシミリアン貴大) 抜粋 パンドラの箱に残ったものは… 今後の日韓関係の希望の話になるんだけど、今回「徴用」をめぐる判決が出た時に、日韓の歴史の「パンドラの箱」を開けたって、よく言われた。 「パンドラの箱」の話って知ってる? ギリシャ神話に出てくる話ですよね。 そう。パンドラの箱にすべての悪いもの全部封じ込めた。 災害とか戦争とか憎しみとか、ありとあらゆる悪いことを封じ込めたのに、その箱を開けてしまったがために、その全ての災いがどんどん世界に出てしまった、と。 たしかにいまの日韓関係、若干そういうところはありますよね。 そうですよね。あの判決以降、不買運動だの日本旅行自粛だの、GSOMIA破棄の動きだのと、何かいろいろと悪いものが出てきてしまったのかな、という感じはある。 「日本製品を販売しません」と書かれた貼り紙(2019年8月 ソウル) でもこの神話の最後に箱の中に1つだけ残ったものがある、それは何か知ってる? なんだろう…? 最後に残ったのは「希望」。要はどんなに悪くなったとしても、希望は残っていますと。 いまの日韓関係における「希望」はなんですか? 私は、日韓の「民間交流」が深まっていることが希望だと思うんです。 いま年間、ざっと1000万人ぐらいは韓国と日本を行ったり来たりしていて、かつてないぐらい人が直接交流している。 若い世代がお互いの事に関心を持って、交流もするし、相手のことを少しでも知ろうとしている。これが解決への希望かなと思いますけどね。 交流が最後の希望なんですね。 ある韓国人の学者は、今回の「徴用」をめぐる問題が日韓の最後の決闘だっていうんだよね。これさえ終われば歴史問題が終わると。 最後の最後に1番難しい問題が来ちゃったのかもしれない、と。 それでは、いまを乗り越えることができれば、日韓関係は改善するかも知れない…と。 「夜明け前がいちばん暗い」ということばもありますけど、もしかすると日韓関係はいまが1番暗いのかもしれない。 これさえ乗り切れば一気に夜が明けるかもしれないですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.01.26 08:34:44
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