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July 29, 2007
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カテゴリ:河合隼雄
先日亡くなった臨床心理学者・元文化庁長官である河合隼雄氏の本を、図書館で見つけ手に取った。

中年の抱える様々な問題に焦点を絞り、幾つかの文学作品をとりあげ、それを紐解きながらこの「中年」という時期を、いかに捉え乗り越えていくべきかを論じる本である。

中年という時期の捉え方は、人によりそれぞれ異なるだろう。
職業・家庭・社会的地位などの観点から、人生で最も「安定」している時期であると言える。
青年期にありがちな情熱に溢れ夢に向かい果敢に挑戦していける荒々しさは、経験とともに陰を潜め、もっと異なる形で分別を持って社会と共存していく術を身につけている。
健康面でも、壮年期・老年期ほど、肉体的な衰えは未だきていないし、ある程度の無理も効く体力も兼ね備えている。
仕事や家庭・地域社会の中でも中心的役割を担い、おのずと人脈も広がり活動的に行動できるし、その知恵にも長ける。

しかし、だからと言って、中年層の人々の深層心理は決して安定しているものではないように思う。

中年期の人々には、様々な問題が複雑に絡み、その肩に常に圧し掛かっている。
中年と言う時期は、魅力に満ちた時期でありながら、同時に内面に一触即発の危機を抱えているのだ。実際、この時期の精神失調・自殺者の数は年々増加していることからも、よく理解できる。過去の経験から、いろいろな心の傷を持ちながらも社会と折り合いをつけ、時には思いがけないような出来事(事故・病気・天災・家族問題・人間関係など)に翻弄されながらも、投げ出すこともせず、懸命に歯を食いしばり一日一日を生きている、健気な世代だ。

この時期に誰もが抱える漠然とした不安、これから先の人生後半期の入り口に立って、ふと立ち止まってしまうような者達に、この本はひとつの道標になってくれると思う。


とりあげられた文学作品の中で、既読のものは夏目漱石の「門」と「道草」、映画として鑑賞した本間洋平の「家族ゲーム」だけだったが、どの章も興味深く、人の深層心理を突いていて、こんな本の読みかたもできるのかと開眼させられるような深い内容だった。
とりわけ安部公房の「砂の女」は、いつか読んでみたいと思わされた。

臨床の場で沢山の患者と接してきた著者の経験も含みながら、(その具体例を明かすことは患者の秘密保守の観点から不可能なので、文学作品の力を借りることにしたそうである)読者に分かりやすく語りかけてくれる。肩肘はらず気楽に読めながらも、読み応えは充分あり面白かった。また、いつか読み返したいと思う一冊である。

ISBN4-02-264113-4 C0111 朝日新聞社

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Last updated  July 29, 2007 01:14:14 PM
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