カテゴリ:森見登美彦
訳あり京大生「森本」が生み出す妄想ファンタジーの世界。 一見、純文学のように古風で硬質な文体なのだが、読み出すと主人公の森本はじめ登場人物がすべて風変わりで、ちゃっかりお笑いの要素を含んでいる。 それに慣れるまで、少々時間を要したのだが、森本の思考回路・妄想癖・アクの強い友人たちとのやりとり等独特のテンポがつかめるようになると、笑いのボルテージが急に上昇する。 本人はいたって正常と自認するものの、やってる行為はストーカーまがいだったり、彼の住む世界の極端な狭さゆえ世間一般との大きなズレは明白。しかし、そのズレ具合と森見氏ならではの詩的描写の妙が醸し出す独特のハーモニーに、読者は始終惑わされつつも、徐々に不思議な味わいを楽しめるようになるのだ。 しかし、こういう文体の趣向は、読者により評価は様々だろう。私は結構好きだったかも。 ボリュームがない(約200頁)ので、コーヒー片手に一気に読めてしまうライトノベルだった。 これは、著者のデビュー作。なんとなく気になる作家さんなので、他の作品も、図書館で手に入りそうなものから順に読んでみたいと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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