「漢字雑談」 【高島俊男】
ずいぶん前に買ったまますっかり忘れていた。本棚を片付けていたら出てきた。 書名通り漢字についての雑談だが、日本語についての話も多い。 日本語の発音の変遷にも詳しい。 こういう本を読むと、自分が頭が良くなったような気がするのが不思議だ。 常用漢字などというものは一般人は気にする必要がないというのは全く同意見。 ただ、「膨」の字が削られたことについて、一度目の変換で「膨脹」が出ず、二度目の変換で「膨張」が出ることについて、 常用漢字で「膨脹」と書けるのに、パソコンが二度目にしたから、文化審議会は社会一般に用いられていないとして削除したわけだ。(p115)と書いているが、これはパソコンのせいではないだろう。「脹」が当用漢字に入っていなかったから「張」が優先的に出てくるようにプログラムしてあっただけだろう。学習機能があるのだから、一度「膨脹」と変換すれば、以後は「膨脹」が先に出てくる。 パソコンの日本語入力は常用漢字以外は認めないというわけではない。「杜甫」も「李白」も常用漢字に収められていない字が使われているが問題なく変換できる。「りはく」は「李白」しか出てこない。 私のような読者にもわかるように親切でわかりやすい書き方をしているのですらすら読める。残念だったのは「愚不可及」が絶讃した言葉だというところ。(p211) 「その愚は及び得ない」という訳はついているが、それがどういう意味なのか説明がない。仕方がないので検索してみたが、どうも意味がわかりにくい。こういうは丁寧に意味を説明して欲しかった。