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テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:***** 神秘 *****
幽霊の画集を拝見していて、月岡芳年の「宿場女郎図」に目が留まりました。
この絵は、結核でやせ衰えた遊女が階段を上る途中で振り向いた様を描いています。 遊女は骨が浮かぶほどやせ衰え、もはや老女の様です。 階段に片手を掛け、かろうじて自らの体を支えて振り向く様に、芳年は幽霊を見たのです。 隔離された2階の黴臭い部屋で、過酷な生涯を回想しつつ、彼女はその時を待ちます。 陽気な妖怪画に対して、幽霊画はひたすらに暗いのです。 それは幽霊画が、抑圧された者の声だからです。 時代の弱者は、幽霊画を通じて助けを求めています。 芳年の幽霊画の悲劇は、日本では過去のものとなりました。 もし現代に幽霊画が描かれるとしたら、それはどんな姿でしょうか。 現在、孤独な高齢化社会が進みつつあります。 芳年の幽霊画に、私たちの将来の姿が重ならないと言い切れるでしょうか。 幽霊画の本当の怖さは、そのメッセージにあるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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