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テーマ:スポーツあれこれ(11398)
カテゴリ:***** 科学 *****
オリンピック、男子100m走。
異様な雰囲気の中、ピストル音とともにスタートした選手たちは、瞬く間にゴールを駆け抜けました。 タイムは夢の新記録、8秒98。 8秒台の驚異の新記録ながら、続いて会場に流れるアナウンスに、観客は落胆しました。 「ただいまの記録は、遺伝子操作参考記録です」 今日、8月24日の毎日新聞に、上述の内容の近未来のスポーツに関するSF的な記事がありました。 世界のスポーツ界が、新たなドーピング「遺伝子ドーピング」に苦慮しているというものです。 薬物ドーピングは、身体検査により違反を検出しています。 しかし、遺伝子ドーピングでは、違反の有無の確認が極めて困難です。 例えば、筋力が低下する難病、筋ジストロフィーの遺伝子治療。 この治療を健康な選手に施せば、選手の筋力を強化することが可能です。 あるいは、重度の貧血に対する遺伝子治療。 この遺伝子治療では、驚異的な持久力の長距離ランナーを生み出せるかもしれません。 事実、マウスに対する貧血治療を応用した遺伝子操作では、2倍の距離を走るマラソンマウスが作られました。 一方で、この遺伝子操作をしたサルは、赤血球が増えすぎて血液循環が悪化、安楽死させられることとなりました。 遺伝子ドーピングは、極めて危険です。 しかし1980年代のアンケートは、驚くべき事実を明らかにしています。 世界レベルの選手の半数が、ドーピングで金メダルが保証されるなら、5年以内に死んでも良いと答えたのですから。 さらに、遺伝子ドーピングを擁護する声すらあります。 選手にとって重要な素質は、人種の違いによってかならずしも公平ではない。 だから、遺伝子ドーピングで、素質を公平にすることに罪はないと。 従来の薬物ドーピングに歯止めをかけていたのは、厳しい身体検査による違反の検出でした。 遺伝子ドーピングが検出不能であるならば、もはや選手たちの暴走を止めるものはありません。 金メダルのために、命を賭けることができるか。 それが今のトップスリートたちに突きつけられた、 悪魔さえも震え上がる、哀しい最後の選択なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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