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カテゴリ:Travel(フランス)
朝食も同じサロンで。もう少し季節がよかったら、気持ちのよい中庭のテラスで食べられるのかもしれない。 可憐なピンクの小花模様に金彩を施した器は、典型的なリモージュ。銀製のカトラリー。真紅のバラ。食器類は最高級なのだが、サービスしてくれるお姉さんは、アルバイト感アリアリ。 泊まっているお客さんは、Mizumizuのほかに3組遭遇したのだが、中国人が2組、アメリカ人1組(若い女の子のグループ)。 コンチネンタルな朝食は、お粗末そのもの。こちらのパンはまあ美味しいと言えば美味しいのだが、パリの飛び切りのパン屋のパンを知っている身には感動はない。そのほかにはジャム、飲み物、市販のヨーグルト、それに洋ナシを摩り下ろしてフランボワーズを添えたもの。 ま~、なんとも手のかかってない朝食だ。この貧弱さで1人22ユーロとは・・・ ナポリのエクセルシオールに泊まったときは、土地の名産品であるモッツァレッラが何種類も並び、トマトや野菜もふんだんにあった。もちろんハード系のチーズやハムもいろいろ出た。カンパーニャ地方の豊かさを実感したのだが、あそこも今は、コスト重視の「コンチネンタルブレックファスト」になってしまったかもしれない。 器が貴族的なだけに、それにともなう内容のない食事に、心底ガッカリした。ほとんど一見さんの外国人ばかり相手にしている「高級ホテル」はこうなりがちだ。リピーターが来ないから、宣伝にばかりお金をかけ、立派なホームページを作り、ガイドブックに載せ、テレビに取材してもらって、イメージアップを図る。 フランスの高級ホテルは、軒並みこんな調子。ホテル文化でもっとも大切なのは、ホスピタリティ精神だ。どんなにゴージャスな内装でも、立派な器を使っても、スタッフがサービスのプロフェッショナルでなければ、一流とは言えない。 プロフェッショナルなソムリエ、プロフェッショナルなギャルソンのいるフランスで、なんでこうもプロフェッショナルなホテルマンがいないのだろう? リピーターになってくれる自国民ではなく、ほとんどが一過性の外国人をアテにし始めたことで、フランスのホテル文化は凋落したのではないか。 その点、階級がフランス以上に断固として固定しているイタリアには、まだ高級ホテルにもパーソナルなホスピタリティが残っているように思う。フランス人ほど「偉そうでない」というイタリア人の国民性もあるかもしれない。 どちらにせよ、もう高級ホテルはアジアの時代。そういえば、3月のトリノのフィギュアスケート世界選手権で高橋大輔選手が優勝したとき、ドイツの中継だったか、「彼はアジア人初の男子世界チャンピオン。ペアもシングルも、今はアジアが非常に強い」と解説していた。 もともとは、ヒマと時間をもてあましている北ヨーロッパの貴族が優越感に浸るために、氷の上で図形を描いて見せたり、クルクル回って見せたりしていた遊びがフィギュアスケートのルーツだと言われている。それも今はアジアの時代。 ヨーロッパのものだった「何か」をアジアが模倣し、やがて超えていくとき、その突破口を作るのは、たいていが日本人だ。ホテル文化にしても、ヨーロッパでは風前の灯のホテルマンのホスピタリティ精神は、日本に移植されて、十分根付いている。他の多くのアジアの国の高級ホテルは、支配者たる白人のためのサービスをスタッフに教え込むことから出発したが、日本人はそうした意識をもたずに、「自分を下げて、他人への敬意を表す」ことができる。 もうだいぶ昔だが、オーストリアで由緒ある「白馬亭」ホテルに泊まったとき、足を少しひきずっているMizumizu母を見て、老いたポーターが、「どこまで行くの?」と聞き、行き先がすぐ近くの船着場だと知ると、何も言わずにMizumizu+Mizumizu母の荷物を手押し車に乗せ、ホテルから湖までガンガン運んでくれたことがあった。 ああしたポーターは、ヨーロッパの高級ホテルからすっかりいなくなってしまった。今ホテルに突っ立っているのは、正装させてそれなりに見せているだけの、「自分が何をしたらいいのかわかっていない」若者だ。 とはいえ、エクスアンプロバンスのVilla Galliciは、隠れ家的な雰囲気があり、かなり気に入った。値段も、とにかく「高い」と感じるフランスのなかでは、妥当な価格だと言える(一番安い部屋で1泊300ユーロ弱)。もう1度来てもいい気のするホテルだ。今年は4月になっても寒く、ホテルの中庭にあるプラタナスが緑でなかったのが残念だが、初夏のころに来たら、より美しく、落ち着けると思う。そしてここは、クルマで来たほうがいい。 Mizumizu母が、プロバンスではOlivadesの布地を買いたいというので、ホテルのフロントで場所を聞いて出かけた。幸いにも、サン・ソヴィール大聖堂の前の通りで、ホテルから近い。 Mizumizu母お買い上げの布。華やかな花柄模様。 Mizumizuは薄手のコットンのスカーフを購入。30ユーロ(3891円)。天然コットンのさらっとした肌触りがバツグン。 有名ブランドなので、値段は高めだが、質は確かに高い。Olivadesは日本でも買えるのかな? と思って楽天で検索してみたら、結構ある。
日本ではなぜか青系を中心に商品展開しているようだが、現地には赤系、青系、緑系、黄色系と、明るい色合いのテキスタイルがふんだんにあった。
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最終更新日
2010.05.23 16:19:39
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