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【中古】 革命前夜 文春文庫/須賀しのぶ(著者) 【中古】afb ベルリンの壁が壊された少し前、 東ドイツのドレスデンに音楽留学した日本人の青年が主人公で、 汎ヨーロッパ・ピクニックと言われる、ハンガリーの国境から 東ドイツの人がオーストリアに大勢出ていったあのときの 前後の物語。 ピアノで留学していて、バイオリンと合わせたり、 そのときのいろいろな話もあるんだけど、 音楽の描写がよかった。 読んでいて、かなり前半で、 ふと、ベルリンの壁が壊れて、あのとき 東から西へ行った人のその後の話って、 何か見たっけ・・・と思って、思わず検索してしまった。 ちょうどあのとき、外からニュースを見て、 西側の私たちみたいな、あまり当事者じゃない人たちが、 「自由だ!すごい」と単純に思ったようなことだけでは 終わらないよね、当然よね・・・ ということは書かれています。 あのときも、でも、そんな簡単に心の統一は 難しいんじゃないかとは思ったんですよ、私も。 でも、密告されてしまうかもという疑心暗鬼、不安 でいっぱいの生活というのは、 絶対イヤだな。 モノがなく、行列するとか配給とか、 粗悪なモノしかないとか、そういう生活の不便で、 豊かな生活がいいというのは、それはすごくわかる。 そういうもんだよと思って、 そう言われて生きてきたように、 振り返ってみるとなんとなく思うし、 実際、モノがある豊かな暮らしに流れると思う。 でも、モノが豊かに手に入ればそれでいいわけでもないし、 じゃあ、要らない、心が大切!と言えば済むわけでもなし、 ああ、ほんと、 何でも断言できない、どうなんだと思いながら、 その場その場で確認しつつ なんとか生きていくしかないんですね、きっと。 恵まれたところにいる自分が言うのもあれですけど。 それはそれとして、 文庫解説で、作家の朝井リョウさんが、 この作者の須賀しのぶさんは、 自分の経験のない世界のことでも、いきいきと書ける人 みたいなことを書いていました。 そういえば、 西洋人とか外国人を主役にしてお話を書くというのが、 突拍子もないというか、現実性がないと やや批判された女性作家というのが 過去にはいたと思う。 たいていオトナの男の人が批判したんだと思うけど・・・ 篠田真由美さんも、 そんなことを言われたとどこかで書いていたような気がする。 今や、そんな批判こそ、くっだらね~と みんな(?^^;)思ってると思うけど、思いたいけど、 確かに、上手に書ける人と、白々しく薄っぺらくしか書けない人は いるよねとは思う。 須賀しのぶさんのこの作品に出てくる人物は 白々しくなく、ひっかかることなく想像しながら読めた。 最後の、89年8月7日、ドレスデン国立歌劇場で ベートーヴェンのオペラが上演されて、 劇場を出たところのシーンがすごく印象的だった。 東ドイツ建国40周年記念演奏会だったその日、 幹部を前に新演出のベートーヴェンの「フィデリオ」 が上演され、劇場の周りはデモ隊の群衆に取り囲まれていて、 そして、物語の主人公と密告者であった彼との対峙と 1人取り残された密告者の彼の姿・・・ なんか、目に浮かぶようだった。 前にも書いたけど、 須賀しのぶさんの『また、桜の国で』もすごくよかった。 こちらもぜひ。 【中古】 また、桜の国で /須賀しのぶ(著者) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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『また、桜の国で』読んだよ😉
『革命前夜』見つけたら読んでみます👍 心と物の豊かさって人や時代 同じ人間でも年齢によって、それぞれ必要とするバランス違うし 深いなあっています。 (2021年09月19日 08時08分55秒)
ぶどう^_^さんへ
>『また、桜の国で』読んだよ😉 『革命前夜』見つけたら読んでみます👍 読んでくれていたのね^^ 分厚かったけど、どきどきしてあっという間に 読める面白さでしたね。 >心と物の豊かさって人や時代 同じ人間でも年齢によって、それぞれ必要とするバランス違うし 深いなあっています。 そうそう、今や、みんな捨てるのに一生懸命ですしね。 要らないと思うものも多いし、ないほうがいいこともあるし。 でも、日常生活ですぐ使うものが、 簡単に手に入らないと思うと、すごく困るし、焦る人は 多そう。 あと、高すぎて変えないというモノ、 1つは買えるけど日常使いできないということに対して どういう心持ちでいるのかとか、 単純ではないですね、確かに。複雑です。 (2021年09月19日 11時31分14秒)
じぇしさんへ
見つけたら読んでみて。 『革命前夜』の方が、分厚さが薄くて😉 馴染みのある出来事だと思う。 音楽の描写や練習風景なども魅力。 作者は、宝塚ファンなので ツボが同じはず😌 ぜひに。 (2021年09月21日 11時49分13秒) |
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