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カテゴリ:クラシック音楽
日本オーケストラ連盟が主催して年に1回開いているコンサートシリーズの第10回。札幌での開催は初めて。毎回、開催地のオーケストラを中心に全国のオーケストラのメンバーを加えた特別編成のオーケストラで行われているようだ。
メンバー表を見ると、弦楽セクションに20人が加わっている。つい数日前に同じホールで聴いた札響は地元のエキストラ奏者で増強していたが、うねるような響きはこちらの方がはるかに上。整った清潔な響きという札響の美点はそのままに、迫力だけが増して聴き応えがあった。 特に武満徹の「波の盆」は、数年前の札響定期でも演奏されただけに、そのときとの違いが鮮明だった。いわゆるタケミツ・トーンの繊細さを損なわずに一回りスケールの大きな力強い演奏が繰り広げられていて名曲の名演になっていた。 しかし楽しめたのはこの一曲だけ。三善晃「ノエシス」にせよ、この日の指揮者・尾高忠明の実兄である尾高惇忠の「肖像」にせよ、緻密な構成の密度の濃い作品であることはわかるが、何かこう聴き手のアイデンティティをゆさぶるような鮮烈な「一音」とか「一フレーズ」がない。 最後に演奏されたのは尾高忠明の父で指揮者でもあった尾高尚忠の「交響曲第1番」。数年前に第2楽章の自筆楽譜が発見され50年ぶりに初演されたばかりの曲。 この人の音楽はどちらかというと繊細で洒脱という印象があったが、第一楽章の強烈なトリルによる開始部分といい、劇的な展開といい、すさまじいエネルギーに満ちていて驚いた。第2楽章の牧歌的な音楽や美しい終結部のハーモニーにはこの人ならではの抒情性を感じたが、アナーキーなまでのエネルギーの爆発と初々しい明るさの共存には、終戦まもない1948年に作られたという時代性もあるのだろうか。 もし完成していたら、日本のオーケストラ音楽史上に特筆される大作となっていたにちがいない。 昨年12月には東京で林光の「交響曲ト調」、柴田南雄の「シンフォニア」などを聴いたが、凡庸な演奏で30回目の「新世界より」を聴くよりは、アマチュアの演奏でもいいから実演で聴く機会の少ない、しかし歴史的に重要だと思われる作品を聴きたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 5, 2009 01:58:05 PM
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