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カテゴリ:身辺雑記
年が変わって、まずすべきは、年を越すことができなかった人たちのことを思い出し記すことである。
去年は、そのうちどこかで会うこともあるだろうと思っていた、わたしよりも年下の人が3人も死んだ。 ひとりは乳がん患者の大原まゆ。数年前、楽天ブログの更新が止まったので再発したのかと思っていたら、やはりそうだった。それでも、ピンクリボンなどの活動に打ち込んでいる様子は伝わってきたから、そうではなく元気なのかもと思っていた。 彼女とは母の主治医が同じだった。ちょうど彼女が退院したころに入院したので、病院で見かけることはなかったが、検査などで遭遇する可能性があった。そのときはいろいろ話してみたい、と思っていたが機会がなかった。 彼女は5月にたしか26歳で死んだ。死の直前までブログを書いていて、そこには若い女の子ならではのいじらしさ、愛らしさが感じられて逆に痛々しく、涙なくしては読めない。 彼女はこのブログも読んでいてくれて、楽天ブログにはむなしくリンクが残っている。札幌は狭い街だから、出会うこともあるだろうと思っていたが甘かった。 同じ5月に國學院大學教授の宮下誠が死んだ。出張先のホテルでの突然死。47歳だった。 彼の名を知ったのは「カラヤンがクラシックを殺した」(光文社新書)だった。この本の論旨には疑問が多かったが、クラシック音楽はすでに死滅していて、その死滅にカラヤンが果たした役割は決して小さくなかったと考える点では一致していて、今後の議論の深まりには期待していた。自分でもこうしたことをきちんと考えておかなくてはと思っていたので、同じ戦場で、ちがう方法で闘う同志を失ったような虚脱感が残った。 彼はパウル・クレー研究の第一人者であり、オーケストラの楽器ではティンパニ・フェチだった。同じようにクレーが好きでコンサートではメロディよりもティンパニを聞くわたしは非常に親近感を持っていた。彼が行きそうなコンサートというのはわかるから、そのうちコンサートで遭遇することもあるだろうと悠長に構えていたら死んでしまった。 11月には横浜国立大の大里俊晴が大腸がんで死んだ。51歳だった。元同僚の許光俊が真摯で感動的な追悼文を書いている。 宮下誠もそうだが、大里俊晴も他人という感じがしない。 二人とも好きなもの、好きなことにとことん打ち込むオタクの権化みたいな人たちだった。宮下誠はコレクションのCDを売って留学資金にしたというし、大里俊晴はヤクザの親分が殺された新宿のビルの屋上の事務所みたいな部屋を安く買い、そこで楽器とCDとオーディオに埋もれて暮らしていたという。ほんの少し「オタク度」が強かったら、わたしも彼らのようになり、ハードワークや偏食で早死にしていたかもしれないと思えてならないのだ。 ロックギタリストのクセにシャイで、聴衆に背を向けて演奏していたという大里のパフォーマンスをぜひ一度聴いて見てみたかった。 後世おそるべしという。先進国のポスト団塊世代からは、もう面白い人間は生まれないだろうと思っていたが、そんな蒙を啓いてくれたのがこの二人だった。 神は残酷だ。ピュアであることがまるで罪であるかのようにピュアな魂を持った人たちを早死にさせる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
January 6, 2010 05:20:02 PM
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