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投資の余白に。。。

投資の余白に。。。

September 20, 2013
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日本で最も紅葉の早い大雪山系には、大ざっぱに絶景スポットが4つある。少しずつ時期はずれるが例年、9月中下旬にピークを迎える。

この時期にはマイカー規制が行われ、臨時バスが運行される。個人でも縦走が可能になる年に一度のチャンスが訪れる。

一昨年は赤岳銀泉台から大雪高原温泉まで歩いたので、今年は黒岳から銀泉台まで歩くことにして層雲峡温泉まで来た。花の時期には歩いたことがあるが、紅葉時期ははじめて。2泊くらいのつもりで出かけたが、結局4泊5日の旅になった。ほとんど行きあたりばったりの行動だったが、帰ってきてみると「こうでしかありえなかった」5日間に感じるから不思議だ。


層雲峡温泉までは自宅から約200キロ。高速を使えば3時間で着くが、味気ないので一般道を走ることにした。15時に出発して着いたのは20時。

高速が開通した区間ほどさびれていて、旅行者が素通りしていくようになったのがわかる。一般道を走る方が燃費がいいし、スクラップで手作りしたのではと思わせる10割ソバの店を見つけたりした。おもしろそうなので帰りには寄ってみるつもりだが、自転車旅行の若者と触れ合えたりするし、これからはたとえ無料区間といえども高速は使わないことにした。

層雲峡温泉近くのライダーハウスは健在だった。若い男女が4〜5人で食事のあとかたづけをしていたが、今の時代でもビンボー旅行で健全な感性を養う若者はいるのだ。

層雲峡ロープウェイ第2駐車場には車中泊とおぼしきクルマが6台。セダンが多い。セダンで車中泊する元気はもうない、というか20代の頃やってこりたが、たくましい人たちはここでも健在。

3連休の前夜のためか、温泉街の旅館やホテルは満室。いつになく部屋のあかりが明るい。

ここは標高600メートルほどだが、この時期ちょうどいい気温。ただしときどき突風が吹き、クルマが大きくゆれる。テントや山小屋ほどではないが自然との一体感がある。とはいえ、あしたもこの調子なら登山は無理だろう、その時は別のことを考えようと潔く腹をくくる。ふだんは眠っている判断力が活性化する。日常から離れたことを実感するのはこういうときだ。自分の思いがけない一面を知る機会は、日常ではありえない。

学生運動経験のない、あっても機動隊や当局と激突したことのない人間がダメなのは、大げさに言えば生死にかかわる事柄に対する自立した判断力を養うことがなかったからだ。ブラジルではいまオリンピックに反対する数百万人の市民が機動隊と激突しているが、判断力・危機管理能力は旅とかデモの経験によってはじめて養われるし育つ。

戦後の貧しかった時期には日本人の多くは生活するための必死の毎日がそういう判断力を養うこともあったがいまはそういう必要自体が世の中から消えた。

だから登山者でさえ豪雨の中を出発して大量遭難なんてことをやらかすようになってしまった。

車中泊がいいのは暗くなって着いても困らないことだ。何度も来ているようなところでも、朝起きた時に真っ暗だった空間に絵葉書のような景色が広がる意外感、唐突感はすばらしい。

26年使った40リットルリュックは、チャック部分がそろそろヤバイので今回が引退興行になりそうだ。思い起こせば初めての海外旅行でヨーロッパに行ったときも、ヒマラヤ、モロッコ、中米旅行でも活躍してくれた。

思い出の品をとっておく趣味はないが、このリュックだけは壁に飾っておくことにしようか。

ここはもちろんWIFIは通じない。以前はノートパソコンでDVD観たりして夜をやり過ごしたが、いまは暗がりの中でIPADの音楽を聴く。部屋で聴くのとはまた違った趣きがある。「ウェストサイド物語」の「マリア」や、オーケストラだけで演奏されたプッチーニのアリアの数々は、この世界に自分とこの音楽しかないような気がしてくる。

今回はじめて気がついたのは、ビートルズの「ゲットバック」録音の奇跡とでもいうべきテイクだ。ライブ、それもビルの屋上という条件で録音されていながら、あの完成度はすごい。いや、完成度という言葉は間違っている。どこまでも自由なのに完璧なのだ。

以前からこのテイクはすごいと思っていたが、IPADの貧弱なスピーカーから、数百万のオーディオ装置でさえ聞きとることのできない微細なニュアンスを聞きとることができるのは、漆黒の闇の中での孤独な車中泊のおかげだ。

感受性が鋭くなるのだ。

皿数が多いだけの「豪華」料理、快適な時間と空間と睡眠を買う観光客たちは、感受性を鈍くするために大金を払っていることに気づかない、というか気づきたくないのだろう。

こうして、判断力のない羊たちは観光資本に食われるだけの豚になり上がって(下がって)ゆく。

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最終更新日  October 26, 2013 10:55:59 AM
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