くり坊のひとりごと（blog版）

意味はないけれど、むしゃくしゃしたから♪。
若手お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」のお約束のネタの一節。
「武勇伝、武勇伝、武勇伝でんででんでん・・・♪」
と私が説明するのも野暮なくらいにテレビに頻出している。

確かに面白い。

彼らのネタを見ているとには特別思わなかったのだが、先週のナイナイの「メチャイケ」を何気なく見ているとオリエンタルラジオが出ていた。

その中で、オリエンタルラジオの「あっちゃん」が
悪名高いメチャイケのメンバーたちに囲まれ、
「意味はないけれどむしゃくしゃしたから♪売れてる後輩ビンタする♪」
とか歌われてビンタされていた。
不覚にも一瞬笑いかけたが、我慢した。

あ、そうなんだ、そういう意味なんだ、と妙に合点がいった。

オリエンタルラジオの二人は頭がいいのだろう、
「意味はないけれどむしゃくしゃしたから」
の後で機知に富んだせりふが入る。
結果、聞く方も抵抗なく笑える。

ユーモアと悪ふざけの境界は難しいが、ここが頭の良し悪しなのかもしれない。

話は突然変わるのだか、昨日高野山の写真店の店主が殺された。
犯人はごく普通の高校生。
ニュースで見る限りの情報だが、評判は悪くない。

店主を殺した理由。
「むしゃくしゃしたから。誰でもよかった」

これって理由になるの？

意味はないけれど、むしゃくしゃしたから

というのは、即ち、「気晴らし」である。
人間ストレスもあるし、気晴らしは必要だ。
ドライブに出かける、カラオケ、酒、ゴルフなどなど、多くの趣味には気晴らし的要素がある。
昔に比べればストレスはいっぱいあるし、複雑にもなった。
「癒し」という言葉は世の中に溢れている。
「癒し」「感動」「自己責任」
これが現代のキーワードだ。
そして、それはすべて現実の裏返しなのである。

「癒し」を常に求めるほど不健康で
「感動」を求めるほど、刺激に飢えていて、あるいは鈍感で
「自己責任」を強調しなければならないほど、自立できてない。

「衣食足りて礼節を知る」
という言葉があるが、今の日本では衣食は足りているものの、礼節は廃ったままのようだ。

現代社会は、否応なく子ども達にもストレスを与えているのだろう。
昔の子ども達は「疲れを知らない」が枕言葉になるくらい元気だった。
思えば、今の子ども達は、小さなころからストレスを与え続けられて生きているのだ。

ストレスは人間を成長させる原動力になる。
筋肉強化のためには筋肉にストレスを与える必要があるのと同じ理屈なのだろう。
今の時代は世の中の動きが早いため、止まっていては「負け組」になってしまう。
しかもそれは幼少のころから始まっていて、子どもといえども常にプレッシャーの中にいる。

そして、ある日突然耐え切れなくなって事件を起こしてしまう。

しかも取り返しのつかない重大事件になってしまうのが悲しい。

浮浪者に少年が火を付けて焼き殺したという事件もあった。
これも「気晴らし」である。

「気晴らし」が堂々と犯罪の理由になってしまうのは、どう考えても異常だ。
やはり、日本中が病んでいるといってもあながち嘘ではないようだ。
不健康で、刺激に飢えて、自立できない日本人。
どこかで方向転換しないと大変なことになってしまう。