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長編時代小説コーナ

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Jun 16, 2006
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 特に一之進は顕著であった。夜間ひそかに檜垣屋を訪れていたが、最近は

白昼堂々と訪れることも稀(まれ)ではなくなった。

檜垣屋の座敷で六蔵と酩酊するまで酒を浴び、六蔵から女をあてがわれ夢中

となっていた。この知らせは目付の磯辺伝三郎のもとに、ことごとく報告され

ていた。一之進が夢中となっている女の名が磯辺伝三郎にもたらされた。

 お通と言う名前で二十三、四と思われる、美貌の女であるという。

 常に憂い顔をして挙措に品が感じられるとの報告をうけ、磯辺の勘に何かが

引っかかった。名前は源氏名と知れるが、安女郎屋にそんな女が居ることが

不思議に思われた。磯辺伝三郎は配下に女の素性を洗うよう命じた。

執拗で根気のいる見張りが続き、配下の真田新兵衛から驚くべき報告をうけた。

「磯辺さま、あの女は檜垣屋のお抱え女郎ではございませんな」

「証拠でも見つけたか?」老練な腕ききの真田新兵衛をみつめ訊ねた。

「いや、あの女は月のうち二十日くらい駕籠で忍んで来ますが、屈強な浪人が

護衛しておりましてなかなか正体がつかめませぬ」

「護衛つきと申すか」真田新兵衛が頷き、磯辺伝三郎が腕組をして考えこんだ。

(護衛つきの女郎など聞いたためしがないわ)磯辺が苦笑いを浮かべた時、真田

が驚くべきことを口にした。

「申しにくいことですが、藩士の妻女かも知れませぬ」「なにっー」

「跡をつけますと決まって小普請方(こぶしんがた)の屋敷あたりで駕籠が軽く

なります」真田新兵衛が顔を曇らせ小声で報告を終えた。

「何故、見届けぬ」「浪人供の護衛が厳重で近づけませぬ」

 これが事実としたら由々しき大事じゃ。藩士の妻女と思われる女が檜垣屋の

女郎屋で春をひさいでいるとは、信じ難いことであった。

「真田、引き続き探索いたせ」命じた磯辺伝三郎の胸中に黒雲のような疑惑が

湧き上がっていた。もしも真田新兵衛の報告が事実であったら藩中は大混乱に

陥るだろう。藩士の妻女が町人に抱かれる、そんなことがあってはならない。

 探索方の報告を待とう、その磯辺伝三郎の考えは甘かった。

 事件は深く静かに進行していたのだが、彼は知らない。真田新兵衛の報告

どおり、名前は源氏名であったが女の正体は歴然とした藩士の妻女であった。

 女は小普請方の石崎孫兵衛の妻女お由紀であった。

 小普請方とは元来は城や藩の諸設備の営繕を担当とする部署であったが、

最近は諸役の物品の購入や受取、配分などが主なお勤めとなっていた。

 石崎孫兵衛は小柄な躯で平素から目立たない藩士で、お勤めは無難にこなし

ていたが、朋輩と付き合いもない陰気な藩士であった。

 この事件の発端は孫兵衛が、ご禁制の賭場に入り浸ったことから始まった。

 これには石垣一之進が深く関与していたのだ。

 一之進は無類の女好きで一時はお咲に惚れたが、彼女が新弥の妻となったの

で諦めた。諦めたというより新弥を恐れた結果である。

 お咲の身代わりして石崎孫兵衛の妻のお由紀が狙われたのだ。

 はじめは孫兵衛を一派に取り込むつもりで接近したが、妻女を盗み見て考えを

変えた。一之進は再三、孫兵衛を隠密の供として檜垣屋に同行させた、最初は

酒を酌み交わすだけであった。この時点でお由紀の運命は決していたのだ。

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Last updated  Jun 16, 2006 10:07:25 AM
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 こんにちは。   毛絲 さん
一之進の無類の女好きが違う方向に行ってしまったようですね。
罠にかかったお由紀さんは気の毒としかいいようがありませんが、このころは不義密通は死罪なんでしょう。
どうなっていくんでしょうか。 (Jun 16, 2006 01:18:53 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   お局ちゃん さん
エッ、と思う意外性が有りました。

しかし、この意外性と残忍性が物語を作ってゆくのですね。

お由紀さんは、どうなるか?

素人が、賭博に誘い込まれると、不幸が起こる。
仕組まれた罠ですね・・・。

(Jun 16, 2006 02:31:10 PM)

 お由紀の!   ぱせりABCXYZ さん
出現が殊に面白いですねえ! (Jun 16, 2006 03:15:46 PM)

 薄幸の美女☆   上山 麻 さん
しかし、こういったおバカがお話をややこしく(つまり、面白く・・・w)してくれるんですよね。
お気の毒な方がまた一人・・・。
(Jun 16, 2006 03:23:11 PM)

 こんにちは♪   marimon さん
こういう展開?!・・・てっきり
まだお咲さんを狙っているものだと思っていましたぁ。
裏をかかれた、未熟だワww
・・・面白いです! (Jun 16, 2006 03:33:35 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   がまくん2006 さん
一之進の。。。。。。。げす野郎ぶりには,
むか~~~--~~~ってしますね。
最低ですね。 (Jun 16, 2006 04:41:24 PM)

 こんにちは。   更年期かあちゃん さん
>「梅雨入りで 開花を急ぐ 紫陽花や」
-----
移り気も 紫陽花ならば 和(な)がすなり
 あちこちで大雨警報やらが出ていますが、こちらはまた晴れでした・・・降るも嫌 降らぬも見上げて 梅雨憂う 人心の我儘ですねぇ・・・
 両国のご隠居様の講演、どんなんでしょう・・・ (Jun 16, 2006 05:07:00 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   伊奈場 弥勒☆ さん
こんにちわ

お由紀運命がどうなるのでしょうか?
嫌な展開じゃなければいいのですが
とても気になります。

(Jun 16, 2006 06:10:27 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   abilitgrunavi さん
うちの会社の部長はウワバミみたいですね。 (Jun 16, 2006 10:04:40 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   shigezoh さん
虎の威を借る狐とでも言いたくなる様な性格ですねぇ~一之進は・・
女好きとは言っても悪辣卑劣とでも言いましょうか(^^; (Jun 17, 2006 02:51:05 AM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   エンスト新 さん
賭博にはまったのは
罠で懐柔する手立てなのですね。 (Jun 17, 2006 05:52:51 AM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   abilitgrunavi さん
巨人もたまには勝つといいですね。 (Jun 17, 2006 09:11:37 PM)

 Re:うわばみ新弥行状譚(25)(06/16)   PUCHI PUCHI さん
おっと!妻女出現ですか(>_<)
お由紀さんには選択の余地はないんでしょうか?
一之進が何を企んでるのか、続きが楽しみです。 (Jun 18, 2006 01:28:09 AM)


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