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Jun 21, 2006
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「一度、以前に注意した筈じゃ。居残りのために使う蝋燭代は勿体ないとな、

これは次席家老の命令じゃ」父親の忠左衛門の名をだして喚いた。

「それは拙者も充分に承知してござる」「使っておるではないか」

 またもや一之進が声を荒げた。新弥が机の下から風呂敷包みを引きだし、

ゆっくりと広げた。「なんだー」覗きこんだ面々が目を剥き蒼白となった。

 風呂敷には十本ほどの百目蝋燭が包まれていたのだ。

 真っ先に怒声を張りあげた賄い役が新弥の怒りを恐れ尻込みをした。

 百目蝋燭の灯を背にした新弥の表情は窺がい知れないが、詰め所に凄まじい

気迫が漂った。

「藩にご迷惑をおかけしては申し訳ないと存じ、ご家老さまより頂戴つかまっ

た、褒章金で購った蝋燭にござる。これもならぬと仰せにござるか」

 石垣一之進はじめ一座の者が息を飲み込んでいる。

「はっきりと返答いただく」声に威嚇(いかく)を感じ全員が躯を硬直させた。

 新弥を謂れもないことで責め過ぎた彼等は新弥の報復を恐れ後悔した。

「ご返答はいかに」新弥の問いに賄い役の一人が蒼白な顔で口を開いた。

「左様なことなれば、初めから申せば良かったのじゃ。わし等は禁を破ったと

誤解いたした」「弁解も聞かずに真っ先に怒鳴られたのは貴方じゃ」

「申し訳ない、許されよ」一座の者が一之進を先頭にほうほうの呈でもどって

行った。「馬鹿者めー」新弥が毒づき悠々と仕事を終えた。

 後始末を丁寧にせねば奴等のことだ、また難癖をつけるじゃろう。火の元を

充分に確かめ、使い残した蝋燭も風呂敷に包み悠然と下城した。

 御用部屋で忠左衛門は新弥の様子を聞いて唸った。蝋燭持参で登城しおった

か、それもわしからの報奨金で購ったとは。新弥の意地をみる思いであった。

 明朝これを藩士達が知ったら、武士の鑑として誉めあげるであろう。奴をこれ

以上追い詰めることは得策でない。と、瞬時に判断した。

「一之進、今後あの大男に一切干渉してはならぬ」

「父上、我等に公然と盾つく態度は許せません」一之進が不平顔で反論した。

「余りことを急ぐと奴の報復が恐い、奴の背後には飯岡家が控えておる」

「しかし」「手を引くのじゃ」一之進は忠左衛門にこっぴどく怒声を浴びせられ

た。「そちは斉藤の闇討ちにあっても良いと申すか」

「闇討ちー」一之進の顔色が変わり怯えの色が浮かんだ。考えもせぬことであっ

が、言われてみればその恐れは十分にある。

「料簡(りょうけん)いたしたの、そちは石垣家の跡取りじゃ、先を読むことだ」

 はじめは反発したが、闇討ちにあうと脅され納得した。今の彼は新弥なんぞ

に係わっているよりも、もっと楽しい喜びごとが待っていたのだ。

 それは石崎孫兵衛の妻女、お由紀のことであった。初めて抱いた時のお由紀

の柔肌の感触と甘い吐息が思いだされ、躯が燃えてくる。

 亭主持ちの女を抱く淫靡(いんび)な心の昂ぶりを抑え切れずにいたのだ。

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Last updated  Jun 21, 2006 09:48:26 AM
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