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長編時代小説コーナ

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龍5777

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Aug 28, 2006
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「さて斎藤、余もいささか迷った。だが伊奈藩主真田殿が、あのような席で申され

るとは夢にも思わなんだ。藩の剣術師範ならびに剣文館主としては微禄じゃが

許せ。斎藤新弥に五百石を与えるものとする」 平然と加増の沙汰を申しつけ

た。 聞いた新弥が驚いて忠直を仰ぎみた、忠直の瞳に暖かい思いを見つけだ

した。お言葉に添い、うどのような男になろうと誓った。

「謹んでお受けいたします」 新弥はがばっと平伏し巨体の肩が感激で波打って

いる。 「斎藤、これからも頼りといたす。大膳の申したような男になれょ」

「はっ、心いたし精進つかまつります」

 平伏する二人に微笑をみせ、隣室に声をかけた。

「梶原、祐筆の代行とし、余の申したとおり書き留めたかの?」

「はっ、書き留めてございます。ご両所、殿のご温情に感謝なされょ」

 梶原庄兵衛が満面の笑顔で隣りの部屋から姿をみせた。

「この度の一件はこれで済んだの、両人とも下がってよい。二日間の休息を与え

る、自由に江戸の町を満喫いたせ。余は奥に下がって祝いの一時を過ごす」

 忠直の言葉で二人は奥座敷から退出した。この噂は瞬く間に屋敷中に広まっ

た。 すれちがう藩士等が、祝いの言葉をかけてくれる。

 二人は目礼しながら、長廊下を黙々と伝っていた。

「磯辺さま、今宵、拙者の部屋で一献酌み交わしませぬか。まだ色々と国許の

お話をお聞きいたしたい、いかがでしょうか」

「断る訳にはいかぬな、師範のお誘いでは」 「冗談はおやめ下さい」

「拙者にも積もる話があるのじゃ」 磯辺伝三郎がニヤリと破顔した。

「それでは後刻」  新弥は胸中穏やかに自室にもどった。

「お目出度うございます。この度は剣術師範ならびに剣文館主となられ、祝着

至極に存じます」 お峰が透き通った声で祝ってくれた。

「貴女にはお世話になりましたな、礼を申します」

「国許には、何時お帰りにございます」 お峰が茶を勧め寂しげに訊ねた。

「殿から二日間の休暇を頂戴しました。・・・今宵、磯辺さまが来られます、酒肴

の用意なぞお願い出来ませんかな」

「喜んでご用意いたします。特にお酒は十分に用意いたしましょう」

 お峰が心安く請け負ってくれたが、お峰の心を思うと新弥の心も痛んだ。

「お峰殿、このように屋敷内で勝手に宴席など催しても宜しいか。なんせ田舎者

屋敷の仕来りもござろう」

「斎藤さまは別格にございます」 お峰が即座に答えた。

「なぜ別格です、ご迷惑をかけるようでしたら外出して飲みますが」

 お峰がまじまじと新弥を見つめた。(綺麗な眸じゃ) 新弥は内心驚いた。

このような美女に好かれ、放っておく男は居ないだろう。惜しいような複雑な

感慨がよぎった。

「このような些事に気づかれるとは、斎藤さまは本当の武士にございますね。

酒席を当然の如く催すお方も居られますが殿は嫌われます。でも斎藤さま

なれば殿は喜ばれましょう、不思議なお方です」

「左様か」 新弥は忠直の気持ちが理解できた、今宵は甘えさせて頂こう。

「お峰殿、今宵は殿に甘えます」 「はい、ご用意は任せて下さいませ」

 お峰が浮き立つように部屋から辞していった。帰国するまでに謝罪せねばな、

悪戯に女心を弄ぶ真似はできない、新弥はそう心に決めた。彼は単衣に着替え

寛いだ。陽が落ちあたりに夜の帳がおりた頃、磯辺伝三郎が姿をみせた。

 彼も単衣に着替え寛いだ姿であった。

「静かじゃのう、こうして居ると江戸とは思えぬ」 磯辺が感慨深そうに呟いた。

「左様、これも全て終ったからでしょうな」  「ご免くだされませ」

 お峰の声である。  「磯辺さまが参っておられる、用意を願います」

「ただ今、お持ちいたしました」 お峰の姿をみた磯辺が驚いた顔をした。

 彼女はてきぱきと膳部を調え、 「十分にお召し上がり下さい」と素早く立ち

去った。 「美形じゃのう」  「部屋付きの腰元でお峰殿と申される」

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Last updated  Aug 28, 2006 09:18:48 AM
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