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カテゴリ:雑感
今日はあいにくの天気でしたが、私の実家でお彼岸のお参りがありましたので子どもをつれて行ってきました。
さて、お供えの果物が乗っていた入れ物をみると、私が結婚式の引き出物に使った京都の張籠が使われていました。この張籠は妻と結婚する前のある日、引き出物を何にするかと考えていました。ありふれたものではない必ず使ってもらえそうなものはないかと考えていた時に、たまたまみたテレビでこの張籠のことが紹介されていました。そして紹介されていた連絡先を素早くメモすると、すぐさま京都へ。高倉三条にあるお店がこの「奈良吉」でした。 お店といっても作業場といった感じのところで、老夫婦が竹を組んで入れ物をつくってそれに和紙を張り重ねたもので、古くは衣装箱などに用いられていたものだそうです。和紙で張り重ねて漆でコーティングされているので丈夫だし、深みのある色はその伝統を現代に伝えていると思いました。 衣装箱はさすがに大きすぎるので手ごろな物をたずねたところ、この籠を紹介されたのでそれを注文することにしました。確かお店を訪れたのが96年の4月頃だったと思いますが、お店のご主人は当時80歳を越えるご高齢でしたから7月の結婚式当日に間に合うのかちょっと気になりました。それでもさすが職人です、きちんと納期には間に合わせてくれました。 結婚式当日には、この張籠以外にも定番の引き出物を組み合わせましたが、この張籠は私も妻もこだわったものなので喜ばれていたらいいなと思いました。和紙を張る関係でおそらく二つとして全く同じ形のものはないと思いますし、張籠の歴史は500年以上昔から造られているとのことですからね。 ところで、1995年1月7日付け発行の「情報誌 京都」にこの張籠のことが紹介されていて、お店のご主人のインタビュー記事も載っています。ご主人は明治43年生まれだそうで、もしお元気にご健在なら今年100歳ということになります。だから、私が注文に行ったときには86歳だったんですね。それでもその技術力は確かなもので、注文した数の張籠をきちんと納品していただきました。 その情報誌の本文にもあったのですが、製品(作品の方がいいかな)の裏には「十四世 奈良吉」の名前が達筆な文字で入れられています。こういうのもうれしいものですね。また、この作品には和紙の袋に入れられていまして、そこにも達筆な文字で作品名が書かれていました。ここまで来たら、引き出物としては完璧だなって思いました。何と言っても伝統工芸品ですからね、もらった方もちょっとびっくりされたかも。 引き出物を納品されて以降このお店には行ったことがないですし、ご主人もご健在かどうかわかりませんが、こうして今でも使われているのはとてもうれしいことです。 なお、私の家にも同じ物を買いまして今でも使っております。手ごろな大きさで色合いも風合いもよくて重宝しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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