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理由はないんですが、いきなり書いてみました。長いです。
パワーストーンまたはヒーリングストーンのブームによって、天然石アクセサリー、特にビーズを使ったブレスレットは急速に一般的なものになってきました。 天然石ブレスレットを販売するwebショップも増え、趣味が高じてwebショップをオープンされる方も多いようです。 手軽に天然石を楽しむことができるビーズは、石好きさんにとって魅力的な素材ですが、「素材」であるだけに注意しなければならない点もたくさんあります。 まず、考えなくてはならないのは、「ビーズは加工用素材である」ということです。 では、加工用材であると言うことはどういうことなのでしょう。 ●加工された完成品に意味がある。 パワーストーンなどの分野では、石ひとつひとつの意味や特徴を問題にしますが、ビーズとは、本来、何かの材料として使われ、その完成品に価値が出るものです。 つまり、材料として使えるもの、つまり、色や形がそろっている、量が多く手に入る、単価が安い……というものなのです。 今では、パワーストン・アクセサリーに対応して珍しい石を少しだけ加工したものも作られますが、多くのビーズは加工用の素材であるという性質を持っています。 ●大量に同じものが作られる このことは、ビーズという素材に施される加工と密接な関わりがあります。 天然石ビーズショップ、天然石アクセサリーショップは、今や無数にあります。 そこにすべていきわたるほどに、天然石ビーズは、大量に流通する商品なのです。 天然石の魅力は、自然が作りあげたものであること、つまり、同じ規格で大量生産されるものではないという貴重価値と、天然のものならではの色合いや模様のバリエーションにあります。 ところが、大量に流通する商品として見た場合、ひとつひとつがあまりに違っていては、商品になりません。 一点ものが通用する鉱物標本とは違って、ある程度まとまって同じものがなければ、値段を付けて売るに困るのです。 単価が高くありませんから、ひとつひとつ選別したりする手間はかけられません。 そのために、次のようなことが起こりえます。 ●大量に確保できる材料で たとえば「水晶ビーズ」といっても、厳密な意味での水晶ではあり得ません。 水晶は、結晶の形があるもの、石英は塊状のものですが、ビーズをけずり出す材料としてどちらが便利かと言えば、石英です。 大きな塊から次々に削りだしだ方が、歩留まりもよいし、便利です。そのようなわけで「水晶」ビーズの大部分は、厳密には「石英」ビーズであると考えられます。 すると、特徴的な結晶であることに価値がある「エレスチャル・ビーズ」は、ちょっとおかしなことになります。 ●単価が安い素材で 繰り返しますが、大部分のビーズは単価が安い素材です。「天然石アクセサリー」用のビーズの、石としてのグレードなどたかがしれています。 グレードの良い石ならば、ビーズにするよりもルースにカットして売ったり、本格的なジュエリーに加工する方が高く売れるからです。 美しい原石ならば、標本として売った方が、手間もかかりません。 ですから、天然でも産出量が少ない天然シトリンなどが大量にビーズに加工される可能性は低くなります。 このようなことを考えて、全体的な価格を自分で冷静に判断する必要があります。 逆に、ルースのあまり石や、原石の単価が高い石がたまたまビーズにカットされた場合は、値段が素直に跳ね上がる可能性も高いでしょう。 ●そろえるための染め 最初にビーズは、大量商品であるためにある程度まとまって同じものがなければならないと書きました。 たとえば、スモーキー・クォーツは、原石の状態でも根本と先端で色が違っていたりします。 このような色むらが、天然石である特徴であり魅力なのですが、大量商品であるビーズとしてみると、けずったビーズの一個一個の色が違い、それを選別してそろえるとなると大変な手間がかかります。 そんな手間をかけるくらいならば、透明な水晶に放射線をあてて均一に色をつけた方が見た目に美しいものが大量にできます。 カーネリアンやオニキスなどでも同じこと。ビーズに染めや放射線・加熱の加工が多いのは、品質と数をそろえるためであると考えられます。 ●作るなら一気にたくさん 「これは丸で」「こっちは四角」「こっちは雫型で」……といろいろな種類、いろいろな形を少しずつ作るよりも、一気に同じものをたくさん作った方が安上がりです。 そのために蓮の花型のビーズなど、同じものが同時期にどっと出回ったりします。 人気と差別化の功罪 天然石ブームによってショップが増えると、ショップはそれぞれに個性を出し、差別化する必要に迫られます。 また、石の価値を作り出すビーリングの分野では、まだ見たことのない珍しい石がもてはやされ、それを持つことの優越感をあおります。 珍しいもの、レアなもの……それはビーズにも反映され、実にさまざまな石がビーズに加工されるようになりました。 その半面、いろいろな弊害も出てきています。 ●紛らわしいネーミング 水晶(石英)ではなくガラスのビーズがアクア・クォーツ、チェリー・クォーツなど紛らわしい名前で売られています。 よく見ると説明書きに「○○風」とあって、実はイミテーションですと、こっそり見つからないように表記していたりします。 天然石の風合いを手軽に大量に使える素材としては優れていますが、店によっては天然石のように見えれば売れる。そんな商売根性が透けて見えます。 買う側は、たとえば水晶にはどういうものが存在して、どのようなものが存在しないのか。そういうことを知っておく必要があります。 ●産地偽装 食べ物だけでなく、石ビーズにも産地偽装があります。 産地に価値が着くヒマラヤ水晶などが良い例です。聞くところによると、中国などから原料の水晶(ヒマラヤ産ではない水晶)を持ち込み、ネパールで加工するのだそうです。 仕入れる店からすれば、ヒマラヤ水晶であると言われ、ネパールで加工されネパールで買ったものとなれば、なかなか疑うことができません。 でも、実物を見るとかなり疑問です。お店の選別眼と仕入れ能力が問われます。 ●無意味な加工? 他にない石、見た目に珍しい石……を追い求めたのかどうかは定かではありませんが、タイガー・アイを緑や濃ピンクに染めていたりします。 見た目にも美しくなくて、加工する意味が見えません。素材としても色が毒々しいと思うんですけど……。 ●石の性質を無視 ヒーリングストーンなどで人気があるからビーズに……というパターンが多くありますが、エンジェライトなど、水に弱い石が肌に触れるビーズにされていたりするのはいかがなものでしょうか。 セレスタイトなどのようにもろくて、しかも重い石など、わざわざビーズにしなくても……と思います。 せっかく買ったのに傷が付いたり、ツヤが消えたりと言うことがないように、パワーだけでなく石の性質にも気を配りましょう。 ●本当にレア? 珍しい石、初めて見る石がもてはやされる風潮の中では、新たな種類の石が出回りはじめた当初は、値段が高騰する場合があります。 確かに他には見かけない石でも、実は結晶鉱物ではなくて「岩石」で、出るところでは大量に出る石だったりします。 本当にレアなのか、単に今まで加工されなかっただけで、実は大量に産出し出回る石なのかをちょっと気にする必要があります。 ●知識不足! 雨後のタケノコのショップ乱立状態では、お店の人に石の知識を望むのは難しいです。 本来なら、扱う商品の正しい知識を持つことは当たり前のことなんですが。石以外で、商品の名前が違っていたり、「天然です」と言っておきながら実は違っていたら大問題になるでしょう。 ショップの石の説明は、ほとんどが。卸ショップの受け売りでしょう。そして卸しショップはパワーなんて関係がないのです。 中には名前に「ハイパー」と付いているからすごいパワー! ……なんて、とほほな例もあったりします。本当は「成分が僅かに違う兄弟石より固い」というような意味なのですが。石のグレード、名前の正確さ……それらを判断する基準を、買う側も持たなくてはなりません。雰囲気やきらびやかな売り文句に惑わされない冷静さを持ちたいものです。 ●本当に知っておくべきこと 正しい石の知識……ではありません。知っておいた方がいいことは確かですが、もっと大切なことがあります。 ひとつは「自分が欲しいのは何なのか」ということ。天然でも加工でも、美しくて気に入った石が欲しいというなら、自分の好みの石を探せばOKです。 「天然の」「○○産地の」というこだわりがあるのであれば、「ビーズには加工が多い」「ショップの説明が正しくない場合もある」ということは、最低限知っておく必要があります。疑わしければ調べればいいのですから。 さらに付け加えるなら「パワーが強いもの」が欲しいと言う場合。 石のパワーは石の説明に宿るものではありません。手にした人の心に宿るものだと思います。説明が気に踊らされるのではなく、石をじっくり見てはいかがでしょう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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