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「実は....」
ジャウジャウの妻ミージャウは話し始めた。 「さっきも言った様にこの国はアクダイというコータッツ王の家臣が乗っ取ったんだけど、こいつが今までの悪事をもう隠す必要もなくやりたい放題なんだ。しかも、ヒト族だけがこの世の唯一の神に選ばれたものであり、それ以外の者はヒト族に隷属する者または単なる家畜にすぎないという考えなの。そこであいつはヒト族以外に感染する菌をばらまいてあいつに従わない者をこの世から消そうと考えたの。」 「ちょっと待ってよ。」 レーオが聞いた。 「あいつに従わない者を殺すと言ったって、その菌はどうやってそれを見分けるんだい?」 ミージャウに代わってマイロンが答えた。 「それはおそらく『セルラックの自己防衛本能』を利用したんだろう。」 これを聞いてジャウカンは驚いた。 「マイロン君と言ったかな、君はよく知っているね?それも薬学書にあったのかね?」 マイロンは首を振った。 「ううん、これは僕が自分で調べたんだ。失われた古代の国ヘイウッドに関するわずかな言い伝えの一つにあるんだ。珍獣セルラックは攻撃されるとその攻撃した者に害となる毒素を体の中に作り出すんだ。だからアクダイは彼にはむかう一族の者を捕えてセルラックを無理やり襲わせたんだ。そうして出来上がった毒素を一つの菌に埋め込んで国にばら撒いたんだろう。」 ミージャウが言った。 「そのなんだかという古代の国は知らないけど、アクダイの影の魔術師『ゲオルグ』がもたらしたものらしいわよ。」 「ゲオルグ?」 サクランは聞いた。 「そうゲオルグ。そいつはアクダイと一緒にこの国を支配し、邪悪な魔術でこの国から外に情報が漏れないようにしているんだ。どうやっているかは知らないけど。」 ミージャウはそう言って顔をしかめた。 「マイロン。その方法についても何か知ってるかい?」 アズキンはいくらマイロンでもそこまでは知らないだろうと思いつつ聞いたが、驚いた事にこの事に関してもマイロンは答えた。 「それもヘイウッドの言い伝えにある魔術だよ。」 「とするとヘイウッドのいろんな魔術をそのゲオルグというやつが持っているという事なんだろうか?」 レーオの疑問にマイロンはうなずいた。 「おそらくゲオルグはヘイウッドの魔術を手に入れたんだ。」 「その菌でたくさんの者が死に、この国の事は外に漏れないから、誰も私たちを助けに来てくれない。この菌に知能のない生き物が感染すると本能が侵され、それまでの自分の生き場所を離れてあちこちをさまよい始めるんだ。そしてそれが危険な動物の場合は、大変な事になってしまうんだ。」 ミージャウの言葉にマイロンは訳がわかったように答えた。 「だから南に住んでいるジャクシャンがアズキンの住む北の国にもいたんだな?」 「もしかすると俺の母さんやオリン、ヒーナの弟もその菌にやられたんだろうか?」 アズキンの言葉にレーオはさらに付け加えた。 「そうだろうね。ジャウカンさん、その菌はどの種族に害があるんですか?」 ジャウカンは少し怪訝な顔をして答えた。 「イヌ族には確かに毒だがネコ族にも害を及ぼすとは聞いたことがないなあ。」 これにもマイロンが口を開いたので、全員の視線がマイロンにさっと移動した。 「ネコ族に対する菌はさらに種によって細かく分けたんだろうね。ヒト族のアクダイの身内にネコ族がいるとかの理由でね。いずれにしろ菌をそこまで細かくふるい分けられるゲオルグの能力は相当なものだと言わざるを得ないね。」 それを聞き全員の表情は険しくなった。 やがてジャウカンは口を開いた。 「マイロン君たち、どうかこの国を救うために、俺たちに手を貸してくれないだろうか?」 Copyright (C) 2013 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「ヘイウッド」で446件だった。 ヘイウッドの名は全くのひらめきなのだが、あるもんだ。 このヘイウッドは少し違うかな?
ヘイウッドという名前あるんだ?
作者の名前だけど、本はぴったり。
お酒だってあるんだ?
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