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カテゴリ:太っちょポッポのトットさん
凶暴なランカーを倒したマルークは再びジャバの前に引き立てられた。 名ばかりではあるが客人としてではなく、今度は本当の捕虜としてである。 「マルーク、貴様私の可愛いペットを殺しよって。許さん。貴様をサルラックの餌にしてやる。永遠の苦痛を味わうがいい。」
砂漠の惑星タートルインに育ったマルークはサルラックの恐ろしさを知っていた。 サルラックは砂漠に棲む体長100メートルにもなる巨大な生物である。 その体を砂漠の地下深くまで沈め、口だけを砂漠の表面に口だけを出してひたすら獲物を待っているのだ。 口の周りにはアリ地獄のようなすり鉢状のじょうごを形成し、そこを滑り落ちた獲物は口の中に飲み込まれて行く。 飲み込まれてそれで終わりならかえって幸せなのだ。 飲み込まれた獲物はサルラックの特殊な体内に取り込まれて生命と意識を正常に保たれる。 これから永遠ともいえる千年の間、ゆっくりと溶かされその間、想像を絶する苦痛を感じ続けることになるのだ。 この気の遠くなるような苦痛を考えると。 いや、気が遠くなれば幸せなのだ。 正気のまま、永遠の時を過ごさねばならない。
マルークはジャバの傍らに鎖でつながれた少女を見つめていた。 人間の女性を好むジャバは彼女を鎖につないでいつも傍に置いていた。 美しさの中にも強さを滲ませる表情の口元はマルークに語りかけて来る。 その口元はこのような言葉に動いた。 「私があなたを助けます。きっと。今はジャバに従っていて。」 マルークはこの少女が何者なのか知らなかったが、フォースを使って彼女の心に直接語りかけた。 「君は誰?なぜここに?」 マルークから送られて来て、頭の中に響き渡る声に少女は驚きの表情を浮かべたが、すぐに察して言葉を送り返してきた。 「私の名はレイヤン・オッカナ。アレ・デ=ランの元老議員ベイロ・オッカナの娘です。私は特使としての任務を終えアレ・デ=ランに戻る途中、ベーダーに捕まりジャバに売り飛ばされてしまったの。」 彼女は言葉を返しながら、マルークの言葉を心の中に感じることを不思議に思っていた。 だがベイロ・オッカナの娘と知ってわずかに驚いた表情を浮かべながらうなずくマルークを見て、自分の心の言葉が彼に伝わったことを確信した。
「お前の貢ぎ物は確かにいただいた。ジョンピーとやらは伝令として役に立っている。トットやらは私のペットとしては申し分ない。なんの役にも立たないし、食べてもまずそうだし。」 クラトゥイーン・パディ・フロッグというカエルに似た不気味な生物をスナックとして好むジャバにとってもトットさんは不味そうに見えるのだろう。 「なに?俺がまずい?食わず嫌いじゃないのか?おまけに役に立たないだと?おれはちゃんと・・・・・」 ビブフォーチュナの同時通訳を聞いてトットさんは更に自分が何の役に立つか並べ立てようとしたが、自分でもそれ以上言葉は続かなかった。 「トットさん、そんなことを言ったらジャバに味見されちゃうよ。」 ジョンピーに注意されたトットさんは慌ててくちばしを押さえたが、地球というへんぴな星の日本という小さな国の言葉など知らないビブフォーチュナが理解できるわけもなく、事なきを得た。
「私の可愛いランカーが殺されたからには、最愛のペットのサルラックの餌にしてやる。千年の後悔を味わうがいい。」 ジャバの取り巻きたちからいっせいに歓喜が沸き上がった。
マルークは目をそらし、その中に密かに紛れ込んだグーとタラと視線を交えてかすかにうなずいた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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更新されていなかったのでどうかされたのかな?って心配しちゃいましたが
続きが読めてホッとしました。 (2022.04.16 13:53:46)
こんにちは ^^ ☆
マルークは、ジャバに囚われた少女と出会い、生きる望みが湧いてきましたね。 マルークが、グーとタラ、そして、トットさん等のアイディアで、地獄の苦しみを味わう前に、この牢獄から抜け出られることを願っております!! (2022.04.16 17:19:47)
最近、少し寒いですね~( ゚Д゚)
(2022.04.18 17:47:49)
himekyon さんへ
4月から勤務先が変わり、テレワークがなくなりました。 その前から、トットさんシリーズが始まるまでに書き溜めていたネタが尽きて、投稿の都度書かないといけなくなり、週一ペースになってしまいました。 こうなると毎日更新の方を尊敬せざるを得ません。 (2022.04.24 15:05:20)
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