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2022.06.19
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うっそうとした森の奥。
巨大なたき火の炎が薄暗い天空を赤々と照らす。
何も今からキャンプファイアを始めようという訳ではない。
ここは惑星ヱンドアに住むイオークたちの部落。
今から食事の準備を始めようというのだ。
思わぬ大物が獲れたからだ。
人間が十人、ハトが二羽。そのうち一羽は食べ応えのありそうなものすごいデブ。
食べ応えのありそうなものすごいデブとはもちろん太っちょポッポのトットさん。
食べ応えのありそうとは言っても人間なら普通こんなものは食べない。
脂身ばかりで健康に悪いからだ。
「俺は蒸し焼きだ好きだ。」
「私は刺身にしたいわ。」
「バカ者、昔から丸焼きと決まっておるのじゃ。」
トットさんの自動翻訳機から漏れて来る彼らの会話が身の毛もよだつ。
「おい、客人をお連れしろ。今から食事の用意をしますとな。」
一人が藁小屋のなかに入って一人の人間の女性を案内してきた。
「レイアン!?」
マルークは思わず叫んだ。
森の中で行方不明になっていたレイアンが思わぬところに現れたからだ。
「レイアン、この縄を解くように言ってくれ。」
バン・ソコが怒鳴った。
「この人たちは私の仲間です。ほどいてあげて。」
レイアンの言葉にイオークたちはみんな顔を見合わせたが、やがて口々に叫んだ。
「これは俺たちの晩飯だ。早く食おう。」
そのとき一人のイオークが叫んだ。
「これは我が偉大なる神の化身、デブリン様じゃないのか?」
みんなの視線がトットさんに集まった。
「何?俺が神の化身。俺が、デブリン?何度言えば分かるんだ?俺はデブリンバトじゃねえ!」
そんな言葉には耳を貸さず、長老の命令でトットさんの縄が解かれた。
「ふーっ。まったく。」
ようやく自由になったトットさんは体をさすりながら言った。
イオークたちは慌ててひれ伏し、神の化身デブリンの前にひれ伏し崇め奉った。
「トットさん、神のお告げで僕たちを助けるように言うんだ!」
ジョンピーがトットさんに叫んだ。
「おおそうだな。よし言ってやろう。俺は神だぞ。こいつらを放してやれ。」
およそ神らしくない言いようにジョンピーは首を振りながら言った。
「もう少し神らしく言わなくちゃ。」
トットさんはしばらく考えて再び神の言葉を口にした。
「我は神なり。この者たちを解き放て。」
ジョンピーは満足して、うんよしよしと頷いた。
しかし。
「何をおっしゃいます。これはあなた様への生贄にございます。美味しくお召くださいませ。」
長老の言葉に一同は頷いた。
イオークたち、何があろうと、誰の言いつけであろうと、マルークたちを一刻も早く食べたいのだ。
それを知ったマルークは目を閉じて念じた。
するとトットさんの体が浮き上がり、やがてイオークたちの頭の上を威嚇するように飛び回った。
トットさんはマルークから送られてくる言葉を口に出して怒鳴った。
「我は神の化身デブリン。この者たちを解き放て。さもなくばお前たちの上に千の罰が下るであろう。」
さすがに恐れをなしたイオークたちは、今夜の食事をようやくあきらめ、マルークたちの縄を解き始めた。
「ああ楽しかった。久しぶりに空を飛んだなあ。俺もまだ空を飛べるんだ?」
すべてマルークのフォースの力とも知らず、トットさんは満足そうだった。





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最終更新日  2022.06.19 10:11:59
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