観音様と遠山桜 11
お江戸 酔生夢死 11 じゃかましいやい!観音様と遠山桜 さてと、浅草の観音様にお参りします。 「お江戸暮しが続きますように、、、」と、チャリン、奮発して寛永通宝の四文銭を投げ入れた。 お隣で拝んでいたのは商家の旦那さんかしら、一文の賽銭なげて、「千両の富くじが当たりますように」なんて、願かけてるわ、まあ、ずうずうしいい。 「海老で鯛を釣ろうったってそうはいかないよ」という、観音様の声が聴こえないのかしら。 神仏にお参りした後は精進落しという名目で浮かれ騒ぐのが江戸時代のお決まりだそうで、念仏堂の裏は奥山と呼ばれる盛り場になっているのです。 随身門までの両側に並んだ楊枝屋も浅草名物で、ここでも看板娘が、楊枝(今の歯ブラシ)を売っていて、その中でも、楊枝屋「柳屋」の看板娘柳屋お藤もまた江戸三人美人のだと人気があるそうで。 ~用事(楊枝)ないのに用事をつくり,今日も朝から二度三度~と、お藤の店には助平爺爺が群がっています。 奥山には、、芝居小屋・見世物小屋、歌舞伎芝居より安く見られる小芝居小屋、落語、落語、講談、浪花節、浪曲、講釈師が聴ける寄席が並んでいて手頃な 席料で気軽に遊べるのでした。街頭では、芥子の助(けしのすけ)と呼ばれる大道芸人、獅子舞、猿回し、居合切り、ガマの油売り、などが出ていた。 水茶屋も酒を供し、菜飯茶屋と言う名の料理屋も並び、矢場では「大当たりぃ、、」という声と太鼓が漏れ聞こえます。酔客も混じってそれこそ毎日が祭りのように賑やかでございます。 無論茶屋の中には店の奥で遊客を呼びこむ店もあり、吉原まで足をのばさず、ここで処理する旦那もいらしゃるようです。 街頭できょろきょりろうろしていると、 あれ、あそこのおじいさん、水戸黄門様じゃないかしら、横にいるのは助さん格さんだ、 なにしてるのかしら、あら、印籠を掲げて 「この紋所が目に入らぬか。ここにおわす御方を、どなたと心得る。先の副将軍、水戸光圀公であらせられるぞ。頭が高い。控えおろう。 すると、どうでしょう、三人の前にいた大きな犬が臥せを下ではありませんか、「よしっ!、、、」と、黄門さまが声をかけると犬は尻尾を振って黄門さまの横に座る。 見物人は拍手をして、順番に犬にお手をしてもらって賽銭をいれる。 面白そうな大道芸だけれど、天下の副将軍の水戸黄門さまがそんなことしてていいのかしら、 水戸から江戸まで来て銭が尽きて路銀稼ぎなのかしら。 あの人たちは三文役者なのかしら、いいや、あたいがテレビで見た水戸黄門様に間違いないわ、、 ああ、いいもの見せてもらった、次ぎはなにを見物しようかしら、、 人込みにもまれながら進むと、丸太に葭簀(よしず)掛けの粗末な芝居小屋が並んでいて、 「名奉行、お江戸の味方遠山の金四郎ご見参!」いう派手な看板のかかった小屋掛け芝居があったので迷わず木戸銭16文(安い!)を払って中に入る。 小屋のなかは、十人も入れば満杯の狭さだが舞台の役者は気合十分出迎える。 遠山の金さんと言えば、テレビでは、松方弘樹、杉良太郎、中村梅之助、市川段四郎、橋幸夫、高橋英樹、松平健、松岡昌宏、いろんな人がやっていて、みんな違ってみんないい、、、 勧善懲悪の 江戸庶民んがすっきりする筋立てでわかっちゃいても気分がいい。 ~じゃかましいやい!! 悪党ども!!、おうおうおう、黙って聞いてりゃ寝ぼけた事をぬかしやがって!まさか己ら! あの晩、ぱっと咲いた桜吹雪、よもや見忘れたたぁ言わせねぇぞ!目ん玉ひんむいてよーっく見ろ!~と、啖呵を切って片肌を脱ぎ、桜の彫り物を見せつける、、、 ぱちぱちぱち、、~いいぞ、金さん!~客席から声が飛ぶ。 ~これにて一件落着!~ つづく 深田みつ ~まだ金さんに恋してる、、、~