「Science For All Americans」が話題になってますね。
アメリカの底力って、すごいなあ。
いろいろ問題のブッシュさん時代でしたが、
もっと長い期間にわたって、国の力を高めるための、
すごい戦略を立てられるのが、アメリカです。
1980年代から推進中の科学教育改革プログラム"Project2061"というものがあります。
Project 2061は、理系支援NPOのAAASを中心として、
様々な分野の専門家を集め
国ぐるみで作成された一大プロジェクトです。
全アメリカ国民の科学的思考力を増進するための
76ヵ年計画を米国全土で展開するとっても戦略的で具体的なプランです。
Project 2061ではまず、Science for All Americansという報告をまとめ、
「科学」とは何か、
そして国民が身に付けるべき「科学力」とはどういうものであるか、
について徹底的に分析しています。
その最初の言葉にこう書いてあります。
(注意 これは、科学哲学の専門書ではありませんよ。
アメリカ国民がみ~んな身に付けなければならない、常識とされている言葉です。)
世界は理解可能です。
科学的認識は変化するものです。しかし
科学知識はすぐには使い物にならなくなったりしない。
科学は全ての問いに答えられるわけではない。
さらに、科学の性質として
科学は証拠を必要とします 。
科学は論理とイマジネーションの混合物です。
科学は説明と予測を与えてくれます。
科学は権威をかさにはきない。
科学は社会的なこと関連しています。
まるで、科学寅さんが、しゃべってるみたいですね。
すごいと思いませんか?
現状分析については、こう言っています。
生翻訳なんで、こなれてませんが、こらえてください。
我が国は科学技術分野における能力に(さらにはリーダーシップに)
国家の将来の幸福を意図的に賭けている。
従って、この注力が、現代的で確固とした基盤を持つ、
高い能力を持つ教師と管理者が配置された学校システムの形で現れることに期待するのは当然のことである。
ふむふむ、科学は大切だと。
ほとんどの小学校教師は、科学・数学に関する初歩的な教育すら受けていない。
そして中学、高校の理数科教師の多くは、
これらの分野で用意された合理的な基準を満たさない。
エ、そんなにヒドイの?
科学と数学の教師は、たとえ彼らの準備がどれだけ素晴らしかったとしても、
立派に務めを果たすことがほとんど不可能になるほどの壊滅的な授業負担を持つ。
この重荷は、彼らをバックアップする近代的なサポートシステムがほとんど存在しないことによって悪化している。
世界は21世紀に近づいているが、アメリカの学校は(人員、時間、テクノロジーの配備に関しては)未だ19世紀に止まり続けているように見える。
キビシイですね。
現在の科学の教科書と指導法は、
手助けからはほど遠く、
現に科学リテラシーに向かう進歩をしばしば妨げる。
疑問の探求よりも答えの習得を、
批判的な思考の代わりに記憶力を、
文脈理解の代わりに情報の断片を、
議論よりも暗唱を、
行動よりも読書を重視する。
学生の共同作業や、知識や情報の自由な共有や、
知力を広げるための最新の器具の使用を促すことができない。
理数科目における現在のカリキュラムは、詰め込み過ぎで栄養不足である。
これらのカリキュラムは数十年にわたってほとんど制限を受けずに肥大化し、
結果として教師と生徒を圧倒し、
どの科学、数学、テクノロジーが真に重要かを彼らが把握し続けることを困難にした。
いくつかのトピックは不必要な詳細にまでわたって何度も繰り返し教えられる。
その一方で、科学リテラシーと同等以上の重要性を持つトピック
(主に物理学や社会科学、テクノロジーに関するもの)は、
カリキュラムに存在しなかったり、ほんの少しの学生しか登録しなかったりする。
ん~、泣けます。
世界は特権階級のみならず、
あらゆる人々にとって科学リテラシーが必要となるように変化した。
そして科学教育は、これを可能にするために変わらなければならない。
我々は皆、教育における現在の嘆かわしい状況に責任がある。
そして提言として
学校がますます多くの内容を教えるよう依頼される必要はなく、
むしろ科学リテラシーに不可欠な内容に焦点をおき、
より効果的にそれを教えることが必要だということである。
したがって、一般的な学習の中核要素に関する評議会の提言は、
これを科学リテラシーに対して最大の科学的・教育的重要性を持つ考えや技術に限定することである。
と言っています。
日本の子どもたちこそ、将来直面する問題を考えると、
アメリカ人以上に科学リテラシーが必要ですよね。
改革を頑張りましょう。