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テーマ:今日飲んだお茶(1037)
カテゴリ:***** 歴史 *****
ずいずいずっころばし。
その歌が、ちまたに流行ったのも無理はありません。 江戸時代、年に1回、お茶壺道中がありました。 お茶壺道中とは、徳川将軍家のお茶を、京都の宇治から江戸まで運ぶ行列です。 その時期は、4月下旬から5月上旬。 多いときには100を超える茶壺が運ばれ、行列も1000人を超えました。 行列が来ると大変です。 庶民は土下座をさせられます。 たとえそれが、お茶にすぎないとしても。 そればかりか、葬式も農作業も中止させられます。 台所の煮炊きで、煙が立つことも禁止です。 庶民はその姿を自嘲して、この歌を歌いました。 「ずいずいずっころばし ごまみそずい 茶壺に追われて とっぴんしゃん 抜けたら、どんどこしょ」 ゴマ味噌をすっていたら、お茶壺道中が来てしまった。 あわてて、扉をどっぴんしゃんと閉めて、家の中に隠れましょ。 やっと行ってしまったら、一息つけるよ、どんどこしょ。 「俵のねずみが 米食ってちゅう、ちゅうちゅうちゅう おっとさんがよんでも、おっかさんがよんでも、 行きっこなしよ 井戸のまわりで、お茶碗欠いたのだぁれ」 家の中に隠れていると、ねずみの声が聞こえてくる。 おっとさんが呼んでも、おっかさんが呼んでも、出てはだめ。 おや、井戸の傍でお茶碗が割れる音が聞こえたけど、だれだろう? かつて、お茶が人より偉い時代もありました。 それでも庶民がくじけなかったのは、そこに歌という娯楽を見出したから。 ずいずいずっころばしの、その歌からは、庶民の生きる力が伝わってきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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