Nゲージのコンテナ小史
Nゲージのコンテナの歴史について,簡単に振り返ってみたいと思います。日本型Nゲージでコンテナ車を初めて製品化したのは,関水金属(カトー)でした。1967年,当時最新鋭のコンテナ貨車であったコキ10000・コキフ10000を製品化。初期製品は,X2Fカプラーを装備していましたが,後にアーノルドカプラーに替わり,コンテナのレタリングの改良などを経て,現在に至るロングセラーとなっています。(RM MODELS 2006年6月号より。カトーのコキ10000とコキフ10000)1973年には,トミーから「トミーナインスケール」初の日本型として,香港製の2軸貨車6種が製品化され,うち1種がコム1でした。1978年には,カトーから,コキ5500が製品化されています。これらカトー,トミー両社のコンテナは,いずれも複数のコンテナを一体成型した「つながりコンテナ」となっており,今日のように,コンテナを載せ替えて楽しむということは,想定されていなかったようです。1980年にはトミックスからコキ5500(香港製)が,翌1981年にはコム1(2代目・香港製)が製品化され,コンテナは個別の成型となりましたが,載せ替えはまだ想定されていませんでした。(「鉄道模型考古学N」より。トミックスの初代・2代コム1(いずれも香港製))一方,1981年には,カトーから,西武百貨店池袋店にあった鉄道模型店「しぐなるはうす」の特注品として,「SEIBU Lions」のロゴや,マスコットキャラクター「レオ」が印刷された,「レオコンテナ」が製品化され,話題となりました。同社E851電気機関車との組み合わせが楽しく,今日もファンの多い製品です。(「鉄道模型考古学N」より。カトーの西武ライオンズ仕様コンテナ)1986年にトミックスから製品化されたコキ50000・コキフ50000(日本製)は,コンテナ有りと無しがそれぞれ製品化されるとともに,リアルな爪をもち着脱の容易なコンテナが用意され,コンテナを載せ替えて遊ぶことができるようになりました。翌1987年には,コム1(日本製・3代目)も同様のコンテナを載せた製品となっています。トミックスでは,引き続き,各社のロゴも楽しい12フィート,20フィートコンテナをはじめ各種コンテナを積極的に製品化するとともに(未塗装キットもありました),フォークリフトや,5tコンテナ2個積三菱ふそうトラックといったラインナップを展開しました。なお,1990年には,銀座・松屋の鉄道模型ショウの記念品として,「Let’s Enjoy New Hobby Life 1990 TOMIX」のロゴが印刷された特製コンテナが配布されています。(1990年の鉄道模型ショウで配布されたトミックスのロゴ入り特製コンテナ)(「Nゲージモデル・アーカイブス」より。1999年に発売されたプレイステーション/ウィンドウズ用ゲーム「ガタンゴトン」のロゴ入りコム1)1993年には,カトーからも,コンテナ載せ替え可能とした,コキ104が製品化されました。2002年には,マイクロエースが「たから号」「北海ライナー」でコンテナ車に参戦。2004年には,カトーから,M250系コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」が製品化されました。2006年には,トミーテックから「ザ・トレーラーコレクション」で,40ftコンテナが製品化され,トミックスでも,同型のコンテナを搭載したコキ104が発売されました。同年には,マイクロエースから,コキ71カーラックコンテナが製品化されています。2012年には,グリーンマックスから,開閉式ギミックを採用したコンテナが製品化されています。上記のほかにも,朗堂やプラッツといったメーカーからも,多数のコンテナが製品化されています。近年では,アニメキャラクターをプリントしたコンテナまで製品化され,ますます多様化していますね。そして,これら各社のコンテナが互換性を持っていることは,ユーザーにとって非常にありがたいことです。<参考文献>TOMIXのすべて(2001),KATO Nゲージアーカイブス(2007),TOMIXの40年(2016)