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2024.02.24
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カテゴリ:オーディオ
寝部屋には情報ソースとして極めて有効なラジオが枕元に幾つかあって、
朝晩にはニュースや音楽をチェックしている。

自分用の最初のラジオは子供の頃に祖母に買ってもらった、
9V電池で動くストレート検波のクリスタルイヤホンで聴くアポロラジオで、
その後は夜店の屋台で売っていたラジオとか模型店の6石ラジオキットを愛用していた。

やがてソニーのスカイセンサーラジオを親から譲り受けて、
次にこれのFM放送をもっと良い音で聴きたくなり、
廃棄されたTVから取り出した16cmフルレンジと5cmツイーターを、
ベニヤ板を切って作った後面開放型に組み込んで、
イヤホン端子からケーブルを伸ばしてNHK/FMを聴き始めたのが、
今に続くオーディオへの取っ掛かりだ。


その後、ラジオは新聞配達で手に入れた、
ナショナルのステレオマックというステレオラジカセになり、
FMをカセットに録音するエアチェックに凝って、
裏についていたRCA出力端子からアンプとスピーカーを外付け。

アンプは秋葉原から取り寄せた、
出力素子に日立のICを使ったキット品をベースに大改造。

特に音質への影響が大きい入力のカップリングは内外の数種類を試したのだけど、
この時に一応自作記事でも定評のあった輸入コンデンサーの中には、
バイポーラ電解よりも音が良くない上に硬いリード線が磁石にくっついて、
鉄線が使われていることが分かってガッカリしていた事を思い出す。


やがてそれは、バイトで苦労して購入したトリオのKT-8300チューナーと、
ティアックのF-510カセットデッキの組み合わせになり、
スピーカーは自作の20cm2ウェイバックロードホーンに…。

それもレコードがメインになってオーレックスとヤマハのセパレートアンプに、
相変わらず自作の30cm3ウェイバックロードホーン+ASWの4ウェイになってからは、
バイトの結晶だったカセットデッキとチューナーはお飾りに。


最近になりCD/SACDがメインのデジタル系と、
レコードがメインのアナログ系とは別に、
昔懐かしい16cmロクハンオーディオの原点である、
音の良いFMラジオとも言うべきピュアオーディオシステムが欲しくなった。

それで25年ぶりにダイヤトーンのユニットによる16cm2ェイシステムを設計開始。
後はサブロクの12mmコンパネ2枚の裁断と組み立て待ちだけど、
慌てたものではないのでゆっくりと進めている。

ただ、肝心のFMチューナーなんか今では絶滅していて、
中古でも比較的新しいデジタル表示となると、
モノとしての存在感が希薄で何とも詰まらないので、
実家にあったバイトの結晶であるトリオKT-8300を引っ張り出してきた。

当時、トリオが開発した独自のパルスカウント検波を搭載した5連バリコンの戦略機で、
21世紀のペカペカしたオマケのようなチューナーとは次元が違い、
がっしりとしたシャーシーのお蔭で7.5Kgという重さがあり、
1978年の発売当時に63,000円もしていたFM専用チューナーだ。

ペカペカとは無縁の分厚くて強固なコの字形のフロントパネルとガラス越しに見える、
スケールを照らす豆電球によるタングステンの淡い明かりの雰囲気に加えて、
無垢の削り出しの大きなダイヤルノブと、
内部に隠されたはずみ車によるチューニング操作は、
独特の精密感が伴っていて改めて感動してしまう。

もう大分前に放置されてくたびれている奴を、
アルコールと中性洗剤とピカールで磨いて電源に繋いでみると、
通電して稼働しているので何とかいけそうである。
ただ、音がどことなく歪みっぽくて少しハムを感じるので、
電源の容量の大きいものから105℃規格の電解コンデンサーに交換。

写真を撮ってから紙にコンデンサーの大雑把な位置と、
容量とマイナス極の位置をメモした地図を作製して、
赤マジックで交換予定の奴に番号を振る。

コンデンサーが大分小型化されているので、
電解液が漏れやすくなるように根元から直接斜めに足を広げてはいけない。
必ずラジペンで根元から2~3mm程下から斜めに曲げて、
そこから真っすぐにして元のピッチに合わせる。
ハンダは高温で溶ける無鉛ではなく昔ながらの鉛ハンダを使用。

外したコンデンサーの中にはゴムが硬化して、
足の根元周辺にグレーの模様がついているものもあったけど、
大きい容量のものはテスターで当たると意外に容量が残っていたりする。

灰色のオリジナルの電解コンデンサーを、
一部茶色の新品に交換したKT-8300の基板全景。


家では70~80年代のラジオが今でも現役でこき使っているけど、
恐らく、まだ輸出産品の花形だった日本の音響機器はオーバースペックで、
余裕のある設計と余裕のある部品が使われていたのではないかと思う。

この手の家電は既に40年を超えて全体的にくたびれているので、
大枚をはたいてO/Hしたり、少しくらいパーツを交換するよりも、
完動であれば定期的に電気を通してやる位の方が良いのかもしれない。


肝心のKT-8300は31個のコンデンサーを交換して
音も奇麗になって不安定だったチューニングロックも復活。
ほぼ一日中アンプに繋いで音出しをしても問題はなく、
受信環境の悪い一階でもフィーダーアンテナ程度で、
シグナルはレベル5近くに振れてステレオ受信でしっかりと音が出ている。

実はコンデンサーの数が多くて面倒になってしまい、
作業と並行しつつネットで整備品を送料込みで7、500円で見つけて入手。
その新参者をメインに据えてバイトの結晶を予備か最悪は部品取りにしようかと思ったのだけど、
その必要性もないので選局を変えた2台を並べる贅沢をしてみようか。

稼働中のKT-8300は、
下がバイトの結晶で上が新参の整備品。

それにしても今時はチューナーなんか需要がないのだろう、
同時代の中古アンプに比べると安くて助かる。

これで調子に乗って5連バリコンのKT-8300よりも、
更に1Kg重くて7連バリコンの高級機という、
1976年発売当時で78,000円もしていたKTー7700を、
当時の元箱付きで稼働品というのを送料込み1万円で入手。

通信機器でも定評のあるトリオがプロの扱いにも対応できるように、
ラックマウントも可能で電波の解析も出来るような機能まで盛り込んでいるチューナーだ。

お決まりの豆電球の光に照らされた8mm厚のガラス越しの、
周波数スケールの上には合計3つのアナログメーターが並び、
4mm厚のアルミパネルにもスイッチとかノブが普通のよりも多くて、
背面にはブロックダイヤグラムまで印刷されている。

こいつも、電源くらいはコンデンサーを交換してやろうと蓋を開けて驚いた。
チューニングノブとバリコンを関連させる機構部分だけでも凄いけど、
KT-8300は一枚の基板に目一杯部品が乗っているとはいえ隙間があるのに比べると、
KT-7700は幾つかの基盤が重なっていたりしていて隙間がない。

更にコンデンサーを外そうとしてもう一回驚いた。
KT-8300は単に部品を差し込んで、
そのまま半田付けして足の余長を切って終わりなのに、
KT-7700の場合は部品を差し込んでから、
裏側のプリントパターンに沿って足を曲げた上で、
そのままパターン上に2~3mmほど足を残したまま余長を切ってハンダ付けしてある。

これは昔の教科書通りのやり方で強度と信頼性は上がるけど、
とても量産品とは思えない手間が掛かるやり方だ。
お蔭で部品を外すのは大変。

1970年代にはNC制御のマウンターなんかないので、
人の手で一個ずつ部品を配置して手仕事で基盤を組んでいた筈なので、
これでは高くなるわけである。
当時のトリオブランドのプライドというか国産オーディオ全般の、
真面目で手抜きを知らない時代の本質を覗き見たような気がする。

KT-8300も手組みだったと思うけど
IC化で基盤が一枚になりハンダ付けの方法がシンプルになり、
かなり量産向きに合理化されている。

右下のトランス横の電源基盤のみ、
電解コンデンサーを交換したKT-7700の内部の様子は、
民生用アナログチューナーの一つの到達点を表している。


左がKT-8300から外した電解コンデンサーで、
主に22μF以上のものを交換して残りはそのままで様子見。
右の袋入りがKT-7700の電源部のコンデンサー。

右端の灰色の2200μFは3本足なのだけど1本はダミー。
2本の足を基盤にまで沿わせた上にダミーの足までハンダで固定しているのは、
輸送時の対応だと思うけど、ここまでやるかと感動してしまう。


KT-7700の欠点は、
元からなのか経時変化なのか受信感度が低い事で、
家は送信アンテナから距離がある上に、
その方向には家があったりして元々厳しいのだけど、
フィーダーアンテナで一階ではモノラル受信がやっと。

二階ならステレオ受信も可能でデビエーションメーターもビンビン振れるけど、
外にFMアンテナを建てるつもりはないので仕方がない。

KT-7700のモノラルはサブで時々火を入れる位で充分だろう。
音質がデジタル時代の到来を予見していたようなパルカウントのモニター的な8300に対し、
独自のPLL New DSDCの7700はモノラルでも柔らかくて芯のある音が捨てがたい。


70~80年代のアナログチューナーは、
電源のトグルスイッチだけでも今は貴重でその操作感が嬉しい。
更に大きくて重いノブによるチューニング操作に至っては、
何か高精度の精密機器を操作しているような感触である。

そして本来は周波数スケールと嵌め込まれたアナログメーターを照らす為の、
豆電球によるタングステンの淡い光が分厚いガラスを通して常に周囲へ拡散しているのも、
この時代のチューナーの約束事だ。


特に、黄昏て薄暗くなった時にその明かりを目にすると、
国産オーディオ界が群雄割拠で色んな新しいものを世の中に問いつつ、
ユーザー側にも熱気があったアナログ時代の黄金期を思い起こしてしまう。

お陰で、つい何気なく”昔は良かったな~”などという、
若者が眉を顰める言葉を呟いてしまい、慌てて周辺に聞かれたか確認した後に、
改めて自分が歳をとった事を思い知らされるので注意しないといけない。





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最終更新日  2024.02.24 19:30:08
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