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カテゴリ:Travel(フランス)
マルセイユまで何分なんだ、まったく。乗ってる時間のが断然短い。苦労してTGV駅まで来て、延々と待たされるとは・・・
切符を払い戻せればマルセイユまでバスで行くことを選択もできたが、前日になっても動くかどうかわからない、エクスの在来線の駅の窓口は開いていないというのでは、手も足も出ない。 とにかく、もう時間どおりにカーニュに着く可能性はゼロになった。実は、カーニュで泊まるホテルは不便なところにあり、ホテルの女支配人によれば、道が狭くて行きたがらないタクシーの運転手もいるのだとか。なので、「こちらでタクシーを用意するから」と彼女がメールで言ってきたので、電車の到着時間を伝えて、お願いしてあったのだ。料金はカーニュからだいたい12~13ユーロぐらいだという話だった。 待ちぼうけをくらわせて、余計な料金を取られるのも嫌なので、電話で連絡することにした。 ええと・・・親切そうな若い男の子はいないかな? いたいた、あそこに腰をおろしている、明るそうなティーンエイジャーに頼もう。 「ボンジュー」と、フランスでは必須の挨拶をして、胸に手を当て、「英語できますか? 助けていただきたいのだけど」と丁寧に言うと、座っていた男の子は、パッと立ち上がり、「何でしょうか? 少し英語できます」と、ものすごく礼儀正しい。 事情を話すとホテルにかけてくれた。受話器の向こうの声は、低い声のオバさん。ストで遅れるからタクシーをキャンセルしてくれるように頼むと、「今どこ?」と聞いてきた。 「エクサンプロバンス」と答えると、「ここに今日来れるのか?」と心配しているよう。 「アンティーブまで行けることは間違いない」 「アンティーブからタクシーで来れば?」 「いくらぐらい?」 「たぶん30から40ユーロ」 ホテルの言ってくるタクシーの料金はたいてい「安め」に見積もってある。なので実際には50ユーロぐらい取られるかもしれないが、最悪タクシーで行けるということだ。とは言え、鉄道の切符をカーニュまで買ってあるのだし、できれば最初の予定どおりカーニュからタクシーで行きたい。 電話を切って、男の子にお礼を言い、例によってコインを2~3ユーロわたそうとすると、「ノー、ノー、大丈夫」と言って受け取らない。 いい子や~ エクスの駅前の女の子とはえらい違いだ。このようにして、もう10代のころから男の子はどこまでも女性に親切に、女の子はどこまでも図々しくと、性質が分かれているわけね。そのままオバさんになるのだから、フランスに親切で気がきくオバさんが少ないのも頷ける。余計なおせっかいを焼いたり、一方的に自慢したりするときだけヤケに生き生きするオバさんは多いが、愛嬌があって可愛げのあるオバさんが本当に少ない。 遅れに遅れたTGVが来て、乗り込むとあっという間にマルセイユに着いた。 例によって大混雑の構内に立ってる案内係に切符を見せると、案の定12:59の電車に乗れという。 まだ1時間ちょっとある・・・ 荷物を預けられれば、マルセイユの駅の近くだけでも散策できる時間だ。 有人の荷物預けがあるので、行くと、 「1回8ユーロ」 とトンデモなことを言う。なんで一律1000円も取るのよ、まったく。それじゃ庶民は利用できんじゃん。 そう、利用する人はほとんどいなくて、荷物置き場はガラガラ、お兄さんはひたすらヒマそう。仕事するというより、8ユーロと言って客を追い払ってる感じだ。 そのうちもっとラクして利益率を上げようと、「10ユーロ」にするかもしれない。フランス人ならやりかねない。 ふと見ると、切符売り場の窓口の列はさほどでもない。もしかしたら、12:59の電車の席を指定できるかもしれない。10分ぐらい列に並んで待って、窓口のお兄さんに聞くと、できないという。「でも、この切符で乗れるから」と偉そうに言う。そんなの当たり前だ! そっちが勝手にマルセイユで止めたんだろうが。 エクスに行くときは、裏のバス停にかじりついていたMizumizu+Mizumizu母。とりあえず、街方面に出てみると、アテヌ大通りに通じる階段には、荷物をもったまま「ためられている」乗客が大勢いた。 羊のように大人しい。みんなよく躾けられていること。普段は文句が多いフランス人だが、ストに対する忍耐強さと寛容さは日本人から見ると、異様ですらある。こういうのも結局、社会をあげての「一種の洗脳」あったればこそなのだ。そうでなければ秩序は守られない。 遠くに見えるのは、ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院。マルセイユ、どんな街だったんだろうな。図らずも2度電車から降ろされたのに、駅で待っていただけ。 12:59発の電車も、当然遅れてきた。ホームは物凄い人であふれんばかり。乗れるのか一瞬不安になった。 とにかく、目の前に来た車両に乗り込んだ。どうやら1等車両だったようで、別の車両に比べれば混み具合はたいしたことはない。 たまたま空いてる席を見つけて、すばやく座った。2等の切符しか持ってなかったのだが、知らんわ、もう。 出発するころには、1等車両も通路まで人がいっぱいになった。 ストのときのこの手の電車には検札が回ってこない。逆に言えば、こういう満杯電車を狙えば、かなりの高確率でタダ乗りができるだろう。それもあって、なるたけ直前まで情報を出さないのかもしれない。 実際にこんな東京の通勤電車みたいになった鉄道で移動したいと思う人がいるかどうか不明だが、といって、タダ乗りをまったく誰も考えないかと言えば、そうとも言い切れない気がする。 カンヌを過ぎたあたりで、電車はだいぶすいてきた。 海が見えてきた。 う~ん、暖かそう。苦難の果て(笑)に辿り着いたコートダジュールだ。 アンティーブ駅で降り、ホームで接続を確かめたかったのだが、あいにく電光掲示板がない。仕方ないので、重い荷物をもって階段を降り、もう一度階段をのぼって駅舎に行く。はぁはぁ、ゼイゼイ。もっと駅のホームにエスカレーターを作ってよ、南仏! 電光掲示板を見たら、なんと同じホームにカーニュに停まるローカル線が来るではないか。しかも、時間は今! えっ? とさっきTGVを降りたホームを見やると、プロバンスとコードダジュールを結ぶローカル線がしずしずと入ってきた。 ゲゲ~! 駅舎から続くホームには下りのエスカレーターがあったのが不幸中(?)の幸い。あわてて地下通路に下り、荷物を引きずりながら必死に走る。日ごろ、「もうお母さんは、走れないから」と言っていたMizumizu母もダッシュでついてくる。 はぁはぁ、ゼイゼイ。ホームへ続く階段を早足でのぼり、なんとか間に合った。 乗ってしまえば、アンティーブからカーニュまでは15分。 カーニュの駅には、タクシーが数台待機していて、運転手もちゃんといた。 ヨカッタヨカッタ。しかし、嫌がられたらどうしよう・・・と思いつつ、タクシーの運転手にホテルの名前(Le Cagnard)と住所を書いた紙を見せた。 「場所はわかる?」 「イエ~ス」 別に嫌がるふうでもない。クルマを出発させて、どこやらにケータイで電話している。あとでわかったのだが、ホテルにかけて、狭い道に入る前で降ろすから迎えに来てくれるよう話していたらしい。 13ユーロと聞いていたタクシー代、実際には14ユーロちょっとで、切り上げて15ユーロ払った。このくらいなら、まあ別に誤差の範囲だろう。 タクシーを降りて、ホテルのクルマに乗り換える。普通のミニバンで、しかも片方のサイドミラーが見事にひび割れている。サイドミラーを破壊するのもわかる気がした。500メートルほど私道のような道を走ってホテルのエントランスに着いたのだが、クルマは小型車1台しか無理そうな「極狭」の道で、しかも道の両脇が石造りの壁になっている。 午後1時には着く予定が、もう4時半。朝9時すぎにエクスのホテルを出てから、7時間以上もたっている。 あ~、疲れた。エクスアンプロバンスで2泊して身体を休めておいたのは正解だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.27 20:52:32
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