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カテゴリ:百人一詩
「愛情13」
金子 光晴 生まれて始めてのことを、女はされる。 男は、新米の教師が、教壇で 化学の実験でもしてみせるやうに なんど繰返しても、覚束ない手つきだ。 男は、女の手をそつとにぎつて、 愛撫し、それを頬にくつつけ、 それとなく、しづかに導いて ヅボンのうへからさはらせる。 それから、もつとさまざまな おろかしい真似をやつてのけるが、 男が、いけすかない男だからでも 女が、いやらしい女だからでもない。 女の顔に、ハンカチーフをかけて 男は、こころをおちつけるために たばこの火をつけて、吸つてから おもむろに、女のホックをはづす。 男は、いちいちびつくりしてみせ、 ばかみたいに上ずつた声で、言ふ。 「これがおへそといふものかい」 てめへだつてもつてゐるくせに。 「純愛」詩の次は「性愛」詩を。金子光晴といえば詩集『鮫』など反骨精神で有名な佳作が多いのですが、こういう「好色」な詩も書く一休禅師なみのエロじいさんでもありました。これも、余計な解説は不要な詩ですね。詩集『愛情69』(タイトルからして隠微です)からの引用です。 -------------------- こういう詩を御紹介したあと何ですけど。 変なコメントに対する対処について。 「無料動画」…ねえ。 せっかくですけど、間に合っています。 確かに、「ワーキング・ガール」見てますけど。 必要ありませんから。 そういうコメントは中身も見ずに即刻削除します。 ご苦労様。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.03.16 19:55:47
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