2711521 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Calendar

Category

Freepage List

2005.03.19
XML
カテゴリ:百人一詩
「ほほえみの意味」
谷川 俊太郎

昼間あんなにもひどい言葉で私を傷つけた唇が
今は意味のない呻きの形にひらかれている
たたなずく屋根また屋根のそのいちいちの下で
いったい何人の我々がこうしていることだろう
あなたがあなたのことしか考えぬように
私も私のことしか考えることができないのに
ひとりではつくれない未来のために
こころごころに不安な計画をあたためている
焦点の定まらぬあなたの視線は私の肩をかすめ
雨もりのしみのある天井に向けられているが
その先にある宇宙は人間には大きすぎる
ちりばめられた星々に負けぬにぎやかさで
都会はいつまでもめざめているけれど
もうまぎらわすものは何ひとつないと覚って
私たちはこの小さな部屋に戻ってきた
番う犬番う小鳥とのただひとつのちがいは
お互いの頬に浮かぼうとするかすかなほほえみ
その意味は問えば失われてしまうだろう


























谷川俊太郎さんといえば、現代日本を代表する世界的に有名な詩人の一人です。最新詩集『minimal』は俳句を書けない谷川さんの短詩集の傑作で、中国語にも訳されました。
世間的には優等生的な印象の強い谷川さんですが、男女の愛をテーマにした作品も少なくなく、どれを選ぼうか迷った挙句、自分が愛してやまないこの詩をご紹介することにしました。金子さんの詩とはまた一味違う、孤独な魂の普遍性を感じ取っていただければ幸いです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.03.20 20:47:22
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.