「めぎつね」
蔵原 伸二郎
野狐の背中に
雪がふると
狐は青いかげになるのだ
吹雪の夜を
山から一直線に
走ってくる その影
凍る村々の垣根をめぐり
みかん色した人々の夢のまわりを廻って
青いかげは いつの間にか
雛小屋の前に坐っている
二月の夜明け前
とき色にひかる雪あかりの中を
山に帰ってゆく雌狐
狐は みごもっている
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黒田三郎の『詩の作り方』という本をぱらぱらめくっていたらこんなのがありました。二月にはまだ少々早いのですが、
「暗号」に引き続き蔵原さんの詩を紹介します。
なお、
こちらのテキストでは「雛小屋」が「鶏小屋」に、「夜明け前」が「夜あけ前」になっていて、あるいはその方が正しいのかもしれません。あしからず。
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