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カテゴリ:ミステリー
異色作家短篇集12。著者唯一の邦訳短篇集でもある。SFタッチの作品や怪奇ものもあるが、全体の雰囲気からミステリーに分類した。
「黄色い金管楽器の調べ」 かませ犬闘牛士の運命やいかに。人びとは「人の死」を望んでいるのだが… 「古典的な事件」 車を偏愛する男は多い。木乃伊取りが木乃伊になるお話。 「越してきた夫婦」 やや趣向が違うが、『ローズマリーの赤ちゃん』を連想。 「鹿狩り」 出世のための付き合いとはいえ、いたいけな動物を狩るのに良心は痛まないか? 「魔術師」 種を明かした手品師は、詐欺師と同じ。最後の台詞がたまらなく優しい。 「お父さん、なつかしいお父さん」 タイムマシンで父親を殺してきた男。だが何も変化はなかった。それもそのはず、男の実の父親は…SFコント。 「夢と偶然と」 この夢の続きを見たら死んでしまう、だから眠らないのだという患者。そこへ夢の中の女性そっくりの看護師が現れ… 「淑女のための唄」 彼女の名はゴーイング・メリー号。乗客はみな老人ばかり。真相にうすうす気がついても最後まで読ませる筆力はさすが。 「引き鉄」 連続自殺事件の背後には、心理的な引き鉄を引いた「神」の存在があった…本書で最もミステリーらしい一篇。 「かりそめの客」 職務に飽き飽きしていた為政者のところへ、妙な発明家がやってきた。しめた。こいつの与太話に乗って政治的に失脚すれば、引責辞任して芸術三昧の悠々自適な生活を… 「性愛教授」 妻が重度の不感症で悩んでいる男が教授を来訪。而してその正体は… 「人里離れた死」 レースでは、若さより経験がものをいうのさ、ボーヤ。 「隣人たち」 排他的な集落に越してきた黒人一家。嫌がらせの果てに待っていたのは…本書唯一のハッピー・エンド。だが、日本でも似たような問題があることを忘れてはならない。 「叫ぶ男」 冒頭、舞台がドイツだという設定が生きている怪奇小説。 「夜の旅」 作中にいわく、「人生の敗残者でなければジャズは演奏できない」 ![]() 夜の旅その他の旅 異色作家短篇集 / チャールズ・ボーモント 【単行本】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.24 08:51:29
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