ふとしたことで話をした、某私立中高一貫校の中学生が娯楽のために読んだという本。ヒストリアンというのは歴史学者のことだ。ブラム・ストーカーの
『吸血鬼ドラキュラ』の現代版ともいうべき内容で、ホラーとファンタジーとミステリーがないまぜになった、妖しくも美しい愛の物語だ。
愛? もちろんドラキュラ伯爵、あるいは串刺し公の愛ではない。男女の、あるいは親子の情愛のことだ。ヒロインの父親の、失踪した妻を探す旅。ヒロインがボーイフレンドとともにやはり失踪した父親を探す旅。二つの意図(糸)が縦糸と横糸のように絡み合い、壮麗なタペストリーを織りなしていくさまは、読んでいて感嘆のため息が出る。漢字も中学生が読むにしては結構難しいものも少なくないのに、君には感心したよ、I君。
【中古】 ヒストリアン1 / エリザベス・コストヴァ
【中古】 ヒストリアン2 / エリザベス・コストヴァ