SFに分類したものかどうか迷うが、一応舞台は数十億年後の終末期の地球で、剣と魔法の復活した世界、という設定だそうである。切れ者というのは自称で実際のところは間抜けな小悪党を主人公にした連作短編集といった趣で、悪漢小説というのはてっきりアルセーヌ・ルパンのようなキャラクターが主人公の小説かと思ったら、相棒のいないルパン三世が主人公でも成り立つんだ、という「発見」のあった一冊。
彼の行くところ行くところトラブルが起き、事件をしでかしておいて尻拭いをしないまま這う這うの体でかの地を去り、新しい土地でまた疫病神となる。しまいには自分をこんな目に合わせた御仁に復讐しようと呪文を唱えるのだが、生兵法は怪我のもととやら、やることなすこと裏目に出るばかり。実はこの話には続編があるらしいのだが、まだ邦訳されていないので、興味のある方は原書で御覧じろ。
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