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カテゴリ:日本人論・日本語論・日本文化論
本書は武士道の『ドン・キホーテ』的挽歌であり、またイエス的福音書でもある。19世紀末、日清戦争の勝利の興奮冷めやらぬ日本で、まさに滅びようとしつつあった武士道は、新渡戸の手によって永遠の生命を得たのである。
註にあるように細かい間違いはある。儒教にしても、江戸時代は朱子学ではなかったかなど、重箱の隅をつつきはじめたらきりがなかろう。だがそれは、異端審問や魔女狩りという歴史的事実ゆえに、キリスト教を全否定するようなものである。 士族の子であった新渡戸は、またキリスト教徒でもあった。彼の説く武士道の源流とその徳目(義、勇、仁、礼、信、誉、忠)およびそれらを成り立たせるための精神(修行、修養、克己)と文化(切腹、仇討、刀、女子教育)およびエートス(武士道の影響、現在、未来)について、その熱弁とユーモアに耳を傾けうるものは幸いである。本書を読む者は、人種や民族や文化の表面的な差異にかかわらず、「人間はどこへ行っても人間だ、お互いに理解し共鳴しあえる存在だ」ということに気が付くであろう。 なお、本書は高いので↓ 『中古』武士道 図書館で読まれるか、廉価版の購入をお勧めします。↓ 原文は英語なので、出版社によってニュアンスは若干異なりますが、岩波版がしっかりした翻訳だと思います。 【中古】武士道 / 新渡戸稲造 【中古】 武士道 ハルキ文庫/新渡戸稲造(著者),矢内原忠雄(訳者) 【中古】afb 【中古】 「武士道」を原文で読む 宝島社新書/新渡戸稲造(著者),別冊宝島編集部(編者) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.14 15:55:40
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