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カテゴリ:ミステリー
ミステリー、というふれこみである。
実際は、そうではない。 クライム・ノベル、いわゆる犯罪小説である。 それも二流の。 なぜ二流か。 若い兄妹が犯罪に巻き込まれるのはいい。 メロドラマでよくある設定だ。 問題は、妹を救う警部とか、兄とかが、「ある本」によって救われることだ。 作者はもともと推理小説作家ではない。 ある種の思想家である。 自分の思想を喧伝するために、犯罪小説という形をとり、人間が「罪悪」から逃れ、前向きに生きるための方法を伝えているにすぎない。 個人の革命、人間革命。 ほら、宗教臭くなった。 それどころか。 革命と言えばマルクス。 「共産党宣言」を手渡され、「これを読め」という小説がいかに読むに堪えないか、素人でもわかるだろう。 本書はその禁じ手をやってしまっているのだ。 だからつまらない。 白けてしまう。 もちろん解説者はそんなことを一言も言っていないが、この本の売れ行きはさぞ悪かったろう。 昭和51年刊行である。 そんなものをなぜ持っているかって? 古本屋で30年前に買って、そのまま本棚に眠っていただけのこと。 いっそのこと、眠らせたままにしておいてもよかったかもしれない、と思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.04.29 16:54:48
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