高齢者は1日4000歩超のwalkingで長生き?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者は1日4000歩超のwalkingで長生き?’という報告です。 健康のためには1日1万歩を目標に歩くことが必要と一般的に考えられているが、この歩数は科学的根拠が少ない。また、1日当たりの歩数にかかわらず、歩行強度が強いほうが健康ベネフィットがあるのかどうかも不明である。今回、ハーバード大学の前向き研究の結果、高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された。また、1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった。 本研究は、米国のWomen's Health Studyにおいて、2011~15年に7日間、覚醒時間中に加速度計を装着することに同意した1万8,289人の米国人女性が参加した。1万7,708人が装着してデバイスを返却した。そのうち、1日10時間以上、4日間以上装着していた1万6,741人のデータを用いて、1日当たり歩数および歩行強度の尺度と全死亡率の関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした1万6,741人の女性の平均年齢は72.0歳であった。・平均歩数は5,499歩/日で、歩行強度別の時間割合は、0歩/分が51.4%、1~39歩/分が45.5%、40歩/分以上(意図的な歩行)が3.1%であった。・平均4.3年の追跡調査期間中に、504人が死亡した。・各四分位における1日当たり歩数の中央値は、順に2,718、4,363、5,905、8,442であった。・各四分位の全死亡率に関連した危険率はそれぞれ、1.00(基準)、0.59倍、0.54倍、0.42倍であった。・解析では、1日当たり平均歩数が増えるにつれて危険率が減少したが、約7,500歩/日以降は平坦になった。・歩行強度については、強度が強いほど全死亡率が有意に低かったが、1日当たり歩数を調整後はすべての関連が減衰し、ほとんどが有意ではなくなった。 ご高齢の方が1万歩以上歩くのはかなり難しいと思われますし、今回の研究では歩行強度よりも歩数の方がより有意に関係しているとの結果でした。ご高齢の方はあまり無理はせず、少しでも歩くことを心がけるのが大事な様です。