でっかい金魚の夢を見た。
それは江戸錦(えどにしき)という種類で、赤・白・黒の三色の魚。 背びれのない、体のまるっこいらんちゅうタイプ。 金魚としてはあり得ない大きさに成長し、立派な水槽に2匹がゆうらりゆうらりと、いた。 専門機関で育てられると、こんなになるんだなぁと感心した。 口を開いて、とじる。 そのくちびるの分厚さに驚く。 まるでクエのくちびるのようだ。 金魚もでっかくなると、口元はやっぱりああいう趣きが出るのだなぁと感心した。 ちょうどごはんタイムだったのか、巨大江戸錦ちゃんに食べ物が与えられた。 これが足もミミもついたままの、生のスルメイカまるっと一杯分なのさ。 金魚もでっかくなるとイカを食うんだなぁと感心した。 水槽内に落とされたスルメイカをひゅっと水を吸引して引き寄せ、イカの胴体を一度しっかりくわえなおし、巨大江戸錦ちゃんはイカをするりと飲み込んだ。 通常サイズの金魚が赤虫を食べるのとよく似た感じで、なんとまぁスルメイカを。 いやぁすごいねぇ。 すっかり感服いたしました。 夢のなかで。 いい夢でした。 江戸錦という金魚を、私も以前飼っていました。 あ、ここからは夢ではなく、現実の話ね。 体の弱い子で、ほかのらんちゅうたちが元気に泳いでいる水槽の底で、お腹を砂利につけてじっとしていることが多かった。 いつもふさぎこんだ顔をしていた。 大阪に引っ越すことになったとき、長時間移動に耐えられないだろうとなかばあきらめたのだけど、嬉しい想定外で、江戸錦ちゃんは大阪に来てからも生きた。 変わらず、ふさぎこんだ顔をしていたけれども。 成長は、食が細かったためか手のひらサイズでストップし、そのくらいの大きさのまま、死んだ。 私は、人が金魚に対して抱く「昔うちにもいたよ」程度の好意ではなく、はっきりとあからさまに金魚を愛しているので、江戸錦ちゃんが死んだとき泣いた。 ほかの金魚が死んだときも泣いてきた。 今は飼ってないです。