◇夢を語る男がキライ
夢や「マイ哲学」を語る男がキライである。 めんどうくさい。 あたしの先行く考えならば興味を持って聞くが、 「あーいるよね、そういう人」 というレベルだと、めんどうくさい。 今日、初対面の男は、自分がやりたい(そしてなかなか実現できずにいる)ことを3~4つ。 将来の大きな目標を1つ。 好きな音楽について、「やっぱりジャムらないと」というフレーズを4回。 そうして、自分がなぜそんなこと・こんなことを語るのか、「マイ哲学」的方向にて、延々語った。 いちおー、前フリであたしに質問をしてくる。 でもあたしの回答を聞きたいわけじゃないんだね。 自分の話をしたいからなんだよね。 あたしはその人を、「つまりはナニが言いたいのかなぁ」としばらく、注意深く見た。 その脈絡のなさ。 ハナシのつまらなさ(ごめん)。 こちらの反応が薄くても無視して語り続ける様子。 ときどきあたしに対する否定をまじえる(このやろうめ)。 さらには、笑うところかと思ったけど、本人はおおまじめだったりして。 ふ~ん。 ようするに、己が大好きなだけか。 多少、人より秀でた部分もあるのでしょう。 むしろ、秀でた人生を送ってきたのでしょう。 やや、アーティストよりの気分で。 この人とは、ハナシをしなくてもよろしい。 あたしはすぐに見切りをつけて、以後、男の目を見なかった。 「ジャムらないとだめですよね」と言うその人は、「ジャムる」を「即興」の意でとらえているらしかった。 音楽を聴くと、そこに合う音を作曲してしまうんだってさ。 なにせ「コードを細かく聞き取れてしまうもんで」、もう習慣、癖。 しかも「ジャズとクラブ系の両刀使い、幸いどっちもこいのオールマイティなもんで」、街を歩けばいたるところで、己の頭の中に常に作曲しているそうですよ。 で、脈絡なくてナニが言いたいのかわからんが、たぶん 「音楽は、即興が楽しいんですよ」 という主旨だったと、思うんだ。 たぶん。 そうして、あたしは思う。 んんん。 あたしは違うよ。 即興はもちろんだけど、あたしはほかの人と音で会話ができるのが一番楽しい。 さいこーですよ。 でも言わなかった。 その人は、言葉を使ってですら会話できない。 ということは、音を使った会話もしたことがないだろー。